Aサイズ殺人事件 (創元推理文庫)
Aサイズ殺人事件 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
セウテス
〔再読〕坊主が安楽椅子探偵役の、8つの短編集。阿刀田高氏と言えば、直木賞作品「ナポレオン狂」から十数冊の作品を読ませて頂いているが、奇妙な味の作風だ。簡単に言うと、オチで不思議な感覚にさせられる作風だと言える。しかし本作は、たいへん貴重な作者唯一の本格ミステリ短編集だと思われる。刑事の佐村は捜査に行き詰まると、囲碁仲間の住職に相談する。住職は話を聞き幾つかの宿題を出し、刑事が捜査した宿題を告げると、自分の推理を語ると言うパターンだ。最後に住職の謎が在るところが、作者らしいとと言えなくもないが正に異色作だ。
2018/10/13
coco夏ko10角
8つのお話収録の短編集、安楽椅子探偵もの。探偵役が和尚さんというのが珍しい。
2018/03/16
みなみ
囲碁の対局をしながら、佐村刑事が和尚に事件の概要を説明すると、和尚がいくつか調べてほしいことを挙げる。調べた上で和尚を再訪すると謎があっけなく解けてしまう安楽椅子探偵の短編集。謎解きは、正直無理やりに感じることもあるものの、和尚の調べてほしいことの趣旨が分かった瞬間、なんだかすっきり。
2018/11/17
Brooklyn0320
和尚が安楽椅子探偵を演じる短編集。碁盤を囲んで刑事が事件のことを一人ごちる→和尚食いついて刑事に奇妙な質問の調査を依頼する→後日刑事が調査結果を報告して和尚が犯人を言い当てる--全編このパターンで成り立ちます。酒と推理に滅法強い生臭坊主、そしてそれを当てにする刑事という二人の距離感が絶妙。謎解きは、正直突飛に感じることもありますが、和尚の珍問の意図が分かるとニヤッとしてしまいます。和尚は明らかに只者ではないのですが、正体は明らかにされません。そこは残念。
2013/09/03
ニョンブーチョッパー
★★★☆☆ もともと書かれたのは約40年前ということもあり、時代を感じさせる。昭和20年代がそれほど昔でないとか、過激派、火薬とか。たった40年で遠い昔の出来事のようになった感がある。まもなく「昭和」も2つ前の元号になってしまうことだし、昭和がどんどん遠くなる。事件解決までの道筋を補うための、奇妙な和尚の質問。その突拍子もない外れ具合によって起承転結の「転結」がキラリと光る。本編とは関係ないけれど、「生臭坊主」という言葉があるからには昔からそういう人が多くいたということなのかな?
2019/02/14
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