グリーン車の子供―中村雅楽探偵全集〈2〉 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M と 2-2 中村雅楽探偵全集 2)
グリーン車の子供―中村雅楽探偵全集〈2〉 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M と 2-2 中村雅楽探偵全集 2)
- 作家
- 出版社
- 東京創元社
- 発売日
- 2007-04-28
- ISBN
- 9784488458027
グリーン車の子供―中村雅楽探偵全集〈2〉 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M と 2-2 中村雅楽探偵全集 2) / 感想・レビュー
geshi
日常の謎というミステリジャンルの祖といえる、歌舞伎の世界を内幕から見た地に足のついた短編集。『グリーン車の子供』短いグリーン車内の描写の中に潜まれた伏線が雅楽の推理によって繋がり「何が謎解きだったのか」を現出させる完璧なつくり。『密室の鎧』ミステリのお遊び的な空気に歌舞伎ならではのギミックをあてこんだ楽しさ。『一人二役』竹野記者を捜査の主体にした変化球だが雅楽の推理で事件の構図を明らかにするストライク。『美少年の死』狂気といえる殺意をあくまで物証から導いていく現実的な視線が特殊だなぁ。
2021/01/04
カーゾン
L:先に読んだ「目黒の狂女」より殺人もあり、密室トリック(但し謎解かれても状況良く解らない)あり、トラベルミステリ的な作もあり、ずっと楽しめた。個人的には表題作より「一人二役」「臨時停留所」「隣家の消息」「襲名の扇子」「句会の短冊」が楽しめた。不謹慎かも、だが短編でも殺人が起こる方が好み。表題作について、今でこそひかり号の何本かは熱海に停まるが当時は1本も停まらなかったので、ひかりをこだまにしようとか、したらしたで却って齟齬が大きくなったとか、当時の推理文壇の中での騒ぎが知れたことは面白かったです。
2024/09/24
ベルガモット
傑作と名高い表題作、やっと手に取りました。老歌舞伎役者・中村雅楽シリーズ。ミステリ短編の、特に安楽椅子ものとしてのお手本のようないろいろな趣向の作品が詰まっています。作風としてはちょっと地味かもしれないけれど、歌舞伎という世界の独特な美意識、役者同士の駆け引き、そういった裏側も楽しめました。表題作はやっぱり面白かったし『隣家の消息』とか話の見せ方がうまいものが多いなあと感じました。
2018/03/17
てっちゃん
殺人事件がなくてもミステリーになるというお手本のような作品集。表題作の「グリーン車の子供」は他の作品集なんかによく取り上げられていて、子供の正体の2段構えの解決の斬れ味は何度読んでも面白い。けれど、他の方も書いていたけど、この作品以外にも、同じぐらいのレベルの作品が目白押しで、本当にはずれの作品はない。この中村雅楽の全集はまだ続きがあるので楽しみ。
2022/10/26
ラグエル
「グリーン車の子供」を今朝ラジオ文芸館で途中まで聞いてすごく気になったので見つけて読みました。作られたようなセリフとそれについての記者の感想が確かにちょっと気にはなっていたんですけど、そういうことでしたか。解く雅楽もすごいけど、仕組むほうもすごいですよね。芝居の世界、怖い。
2013/05/04
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