れんげ野原のまんなかで (創元推理文庫)
れんげ野原のまんなかで (創元推理文庫) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
読友さんオススメの素敵な作品でした。大崎さんの『成風堂シリーズ』の舞台を図書館に移し、緑川さんの『晴れた日は図書館』シリーズのキャラの年齢層をあげてまとめた感じです。かといって決して両作品の‘二番煎じ’ではなく、しっかりキャラも物語も独立しており、安心して読み進めることができました。主人公以外にも魅力的なスタッフが多数おり、帯の装丁にもあるようにまさしく「やさしい図書館ミステリー」として、ゆっくり、そしてじっくりと味わえる良作でした。続編として、能勢さんや日野さんのスピンオフ的な内容も出来れば期待します!
2013/09/28
シナモン
図書館でこんな本を見つけたら借りないわけにはいかない!ってことで手に取りました。利用者もまばらな、のんびりのどかな田舎の公立図書館を舞台に描かれるやさしいミステリー。それぞれのお話に霜降、冬至、立春、二月尽、清明と季節感じられて良かったです。図書館の内側、司書さんたちの日常も垣間見れて楽しめました。ミステリーは昔々の旧家の消失劇が切なかったですね…。能勢さんの「図書館には本しかない。でも本だけはある」の言葉が響きました。
2022/07/24
へくとぱすかる
図書館を舞台に日常系ミステリが展開、と思っていたら、案外深刻な場面も。子どもたちの登場する話は、けっこうほのぼのしているが、大人がからんでくると、世間の暗い側面も見ることになる。それぞれの話は決して単純ではなく、かなりひねってあるので、ミステリとして、結構手が込んでいる。ラストの話など、特にそうだろう。味わい深いストーリーでした。(登録のため再読)
2018/01/28
ユメ
閑古鳥の鳴く秋葉図書館にもたらされるささやかな謎を、魅力的な司書たちが解き明かしてゆく。「大人に決められた道を歩くのは退屈だ」と嘆く子供たちに、司書の能勢が掛けた「大人が思いつかないような場所へ、書物の旅をしてみろ」という言葉に聞き惚れた。大人になっても書物の海はなお果てしなく、終わりのない旅は退屈の文字を知らない。この本を手にする読者は、自分の心象風景としての図書館を懐かしく思い出すだろう。秋葉図書館は著者にとっての「帰りたい場所」なのだとか。私も帰ろうか。れんげ野原のまんなかへ、『図書館浴』をしに。
2015/08/19
nins
図書館の雰囲気もあってゆっくりした時間と日常の謎。5編からなる連作短編集。ミステリという感じではなく小さな謎。周りには建物もない秋葉図書館。ススキが茂っていた場所にれんげそう。図書館って身近であるようでなかなか奥深い。第1話読んで、子どもの頃は岩波少年文庫よく読んだなぁとか懐かしい。恋愛が若干からんだ展開がおまけに感じてしまったのは残念。子どももお年寄りも老若男女がからんでくる事件。後半にいくにつれてシリアス内容も。探偵役は能勢。奥さんと娘さんもいる男性。主人公である図書館司書の文子の普通らしさは良いね。
2011/12/25
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