HEARTBEAT (創元推理文庫)
HEARTBEAT (創元推理文庫) / 感想・レビュー
佐々陽太朗(K.Tsubota)
優しさは決して弱さの表れではない。逆に人は優しさの分だけ強くなれるのだ。これが、この小説のテーマなのだと私は思う。そして、この小説を魅力的にしているのは、この小説の底流にある男のセンチメンタリズムとロマンティシズムである。好きだなぁ。この女々しさ。男ってのはハードボイルドを気取りながら、こうした心情(ある種の弱さ)を持つ己に酔いしれる変わった生き物なのだ。本作は小路氏の初期の作品のようですね。氏の熱い鼓動(HEARTBEAT)を聴きながら、至福の一気読みでした。
2013/05/29
セウテス
【HEARTシリーズ】第1弾。優等生の原之井と不良のヤオが高校生の時に交わした約束は、10年後に学校の校庭で逢うこと。しかし原之井が約束の場所へ行くと、そこにはヤオの姿は無く彼女の夫だという男が居て、彼女は3年前から行方不明だと告げる。原之井は同級生だった巡矢と共に、ヤオの行方を捜す。自分の身勝手から妻と幼い娘を、一緒にいた他人迄巻き込んで殺害しておきながら、他人からは必要とされる。こんな話があるが、被害者と遺族が優先されなくては罪の償いにはならない。ハードボイルド風に描かれた、青春ファンタジーって所か。
2021/03/12
miri
高校時代、淡い恋心を持ち合った優等生と不良少女、10年経ったらとの約束を果たすためにニューヨークから帰国する優等生。行方不明になった少女を探すために、同級生を頼りに行方を探すが騒動が。創元社から出ているので、ミステリー仕立てなのですが、オチが唐突すぎて時が止まる。 牧薩次の『完全恋愛』に匹敵する唐突さ(笑)ミステリーだと思うと腹が立つと思いますが、恋物語だと思えば許せるかな…?
2020/04/03
Norico
10年後の再会の約束のために、日本に戻ってきたオサム。でも、その相手は現れず、彼女の行方を探すうちに、もうひとつのユーリ少年を取り巻く謎に巻き込まれ…。ハートビート、まさかそういうことだったなんて。切ないです。
2015/05/24
もち
「やっと、やっと帰ってきてくれたのに」◆約束は、大切だな――。10年前の約束を果たすため、NYの暗部から帰還した青年だったが、相手の女性は失踪していた。少年少女が遭遇した幽霊騒ぎと、同級生の願いが重なる時、思わぬ結末が現れる。■測り切れないほどの想いに満ちた物語。この清冽な激情に触れられる、というだけでも一読の価値あり。約束のもたらした真実が生む衝撃と切なさは言葉にできない。不器用だった二人のための、繋がれた彼と彼女のための、時の憂愁極まるミステリ。
2015/05/17
感想・レビューをもっと見る