HEARTBLUE (創元推理文庫)
HEARTBLUE (創元推理文庫) / 感想・レビュー
セウテス
【HEARTシリーズ】第2弾。前作で脇を固めていたNYPDのワットマンと、巡矢の2人が別々の出来事から動き、やがてひとつに繋がっていく物語。自殺した少女2人が、同じキーホルダーを持っていた事から捜査を始め、養子縁組や幼児虐待へと謎を追っていく。何とも嫌な分類の犯罪なので、幽霊や親子などの様々な問題に、しっかりと注意が向かない。小路氏の作品は、複雑かつ重厚な設定が最初にガツンと来るのだが、謎解きの段階で首を傾げる。前作から期待していた物語とは、かなり違った。結末には、納得出来ない部分も多く、ちょっと残念だ。
2021/03/14
佐々陽太朗(K.Tsubota)
論語に「父は子の為めに隠し、子は父の為に隠す、直きこと其の内に在り」とある。法律上正しい振る舞いも、情に適っていなければ正しいとは言えないのではないか。たまに間違ったことをしてしまうことがあっても、人を思いやり真面目に生きている者が平穏に生きられることを大切にする。小路氏の価値観はそこにあるのではないか。厳格に法を守ったとして、それが真っ当な人間を不幸にするとすれば、そのことに何の意味があるというのか。小路氏の描く世界は人を思いやる温かさにあふれている。幸せを願って真っ当に生きている人に幸多かれと祈る。
2013/06/12
Roko
アメリカでは「失踪人」がとにかく多いのです。誘拐、殺人などの犯罪がらみもあれば、自分から身を隠してしまう場合もあります。失踪した人を探すのはとても大変なことなのです。たとえ死体であっても、みつかるのは運のいい方で、結局何十年もわからないままという失踪事件がたくさんあるのです。そんなアメリカだけど、良い人も大勢いてストリートチルドレンを救うために養子縁組に奔走する人だっているのです。そういう善意の部分を描こうとするところが小路さんらしいなと思う作品でした。
2022/02/28
ぺぱごじら
なぜこの物語の登場人物達は微笑むことができるのか、なぜ彼らは自分の負った傷の辛さより他人の傷の辛さを思いやれるのか。誰一人幸せになれていないのに、みんな世界に向かって我が身の不条理を叫んでもよいはずなのに。現世に死者の想いを届ける『魔法』を操るメグリヤの物語第二作。『友人だ』『会いたかった』『あなたのことを大切に思っている』これらの言葉の証を『嘘』で立てる矛盾と、それを見抜いた瞬間、更に底の深い『優しさ』に包まれる物語。とても切なく、儚く、美しい物語。2013-88
2013/06/27
ピース
ワットマン、メグリヤの二本立ての話。双方別々の出来事から調査を始めるが同じ結論にたどり着く。それが信じられないような悲しいことだった。ワットマンは立ち直れるだろうか?そして二人は何のわだかまりなく出会うことができるだろうか?その為にはサミュエルの働きが極めて重要になるだろう。
2016/09/03
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