奇談蒐集家 (創元推理文庫)
奇談蒐集家 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
夢追人009
怪奇幻想を愛するマニア垂涎の奇譚集かと思いきや実際は「幽霊の正体見たり枯れ尾花」の怪奇版・安楽椅子探偵小説でしたね。奇談蒐集家の恵美酒氏(ビールの名ではなく)は何でも信じてしまうお人好しですが、助手の氷坂氏(演歌のプリンス・氷川きよしではなく)は冷たい懐疑家で「本当に不思議な話なんて、そう簡単に出会えるものじゃない」が口癖です。うーん、手品の種明かしをされた時の失望感が各編に漂っていて謎がそのままの方が幸せだったかなと思っちゃいますね。各編を読んでの感想は結局本当に怖いのは悪人の性だなと思い知りましたね。
2018/10/24
kishikan
太田さんは初読み。さすがベテランミステリ作家で、老練さ(あっ失礼!)というか非常に安定感があるストーリ。不思議な話を蒐集する摩訶不思議なエビスとそのまた不思議な助手の氷坂が、ヨーロッパ的な装いのバーで不思議体験談を聞くという物語。それぞれ独立した7話の連作短編集だけど、実は最後の話がそれまでの6編の総まとめになっており、それがまた一つの奇談になるという憎い構成。本当は、助手の氷坂(北村薫さんの小説のベッキーさんみたいなイメージ)の正体を知りたかった。ゾッとする話というより、奇妙な話の謎を解くミステリ作品。
2015/03/11
*すずらん*
私も恵美酒と同じく、奇談と呼ばれる様な不可思議な話が大好きだ。ただやはり大抵の話は、現実的な解明をしていく内に話のタネが明らかになってしまう。ああ残念。だけどそんな風に大抵の話のタネが明かされながらも、決して出口が見つからない本物の奇談というものがあるものだ。現実があるから、奇談がある。奇談は現実というリアルな世界の中でこそ、その妖しげな芳香を湛えながら幻と謂われることができるのだ。そんな奇談を、私は生きている内にあと幾つ手にすることができるだろうか?これは明日から新聞の広告欄をチェックし始めねばならない
2013/08/16
みかん🍊
「求む奇談!」の新聞広告を見てとあるバーの奥の部屋を訪れ自分の不思議な体験談を携えてやってきた人々、そこには「奇談蒐集家」恵美酒と名乗る太った男性と美貌の助手氷坂が待ち受けていた、奇談を話し終えた彼らには氷坂がその謎を解き明かしてしまう、6つの奇談とそして最後の訪れたのは、不思議で幻想的な連作ミステリー、人は誰でも過去に不思議な体験をしているしかしそん真相は恐ろしい犯罪に巻き込まれようとしていたのかもしれない。
2021/08/10
コットン
久しぶりに太田忠司を読む。以前はユーモアミステリー的なのを読んだと思うがこれは傾向が少し違う。現実と幻想の狭間の奇談連作短編で冬でもバラが君臨する「冬薔薇の館」が いい。
2013/06/27
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