おっかなの晩 (日本橋船宿あやかし話) (創元推理文庫)
おっかなの晩 (日本橋船宿あやかし話) (創元推理文庫) / 感想・レビュー
sin
本家“しゃばけ”の登場から凡百の類似作品が誕生してきたが、これは本物といえるようだ。かといって本家とは時代考証からして立ち位置が異なっているのは確かで、本家が江戸と云うキーワードに乗っかったファンタシーなのに比べて、本作は妖かしの登場する時代劇であると云うこと(但し作者は時代小説そのものをファンタシーと云っておられるが)…何はともあれそれぞれの物語に工夫が凝らされていて面白く、また続きが出たら読みたく思える作品に出会えた。
2018/12/08
アルピニア
日本橋箱崎の小さな船宿「若狭屋」の女将「お涼さん」をめぐる八つの短編。この世とあの世、人と人ならぬものの出会いが独特の距離感で描かれていると感じた。あれは人?幽霊?妖し?どの話も不思議な余韻が残る。特に「狐憑き」と「三途の川」が良かった。「江戸の夢」ではお涼さんの来し方が明らかになる。シリーズのようなので、次巻もぜひ読みたい。
2019/02/13
ポチ
ほんのちょっとだけ向こうの世界と繋がり、その住人とのやり取りが、折口さんらしく優しく綴られています。
2019/02/06
penguin-blue
人に見えないものが見える船宿の女主人お涼が絡んだあやかし話の連作。後半はお涼の過去に溯り、不思議な力の秘密を説き明かす。ひとつひとつの話には惹かれるものもあるのだけれど、連作として捉えると何だか物足りない。主人公のお涼のイメージがどうもうまく浮かび上がってこないのと、周りの人々の印象が薄いのと。シリーズものになる作品の鍵は、主人公だけでなく周りを取り巻く座組み。両親以外に印象に残る常連が出て来てユニットの魅力で勝負できるようになれば先へとつながっていくかも。中では「狐憑き」「鰐口とどんぐり」が好き。
2019/03/28
リリー・ラッシュ
「何言ってるんです。人は生きている限り中途半端なもんでしょ」このお涼の父の台詞にスっとしました。先が暗いのに先ばかり見て歩くのではなく、自分の足元だけを見て歩き、今できるこことをたとえつまらないことに見えても一つずつやっていって大成した仲蔵の話。「運命ってのはたとえ決まっていても、それをどんな心持ちを持って進んでいくかだけでも違ってくるもんだと思いますからね」これもお涼の父の台詞。心に響きました。どのあやかし譚も良かったけれど「江戸の夢」「三途の川」は特に私好みのあやかし譚でした。続編も楽しみです♪
2019/05/30
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