日本怪奇小説傑作集1 (創元推理文庫)
日本怪奇小説傑作集1 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
ヴェルナーの日記
日本文壇界を飾るにふさわしい層々たるメンバーが執筆した怪談物語集。この中から一つ選べといわれても、とても選ぶことの出来ないほど秀逸な作品ばかりである。自分もはじめて手にしたとき、この人がこんな小説を書いていたのか!と、衝撃を受けた。純文学好きで、かつ、怪談好きの人であれば、手にとっても、決して損はしないという一品だ(でも個人的には、小泉八雲や泉鏡花、内田百閒とか、岡本綺堂、夢野久作あたりが、いぶし銀で好きです)。
2015/04/30
鷺@みんさー
やはり「悪魔の舌」は何度読んでも旋律する。運命が定める二重の禁忌の果てしない残酷さ。「銀簪」は初読み。ラストの一文の「置いてかれ感」がハンパない。危うく窮地を脱したと、ほっとさせてからの緩急が凄まじい。お見事。トリは「化物屋敷」。やはり秀逸。実話なのがまた。解説では平井呈一の化物屋敷秘話が読めて面白い。
2021/05/06
踊る猫
隠れた傑作アンソロジー。ド定番の百閒や鏡花も、あるいは文豪谷崎も乱歩も面白いのだけど、それ以外では漱石や鴎外の小品が光っている。マイナーな作家の作品はあまり感心しない。このあたりは好みの問題も大きいので私が選ばれているということになるのだけれども……特に鴎外はこれまで読まず嫌いを決め込んで来たので、こんなモダンな作品を書いているとは思いもしなかった。読者としての怠慢を恥じたいところ。東雅夫が編んでいる他のアンソロジーで鴎外を積極的に読んで行きたいと思わされた。このシリーズ、二巻も楽しみ。じっくり読むつもり
2019/01/07
藤月はな(灯れ松明の火)
「悪魔の舌」、「人面そ」がまた、読めたのが嬉しかったです。夢野久作氏では「死後の恋」ではなく、「難船小僧」を選んだのにヤラレました。内田百聞の語りが癖になりそうです。「黄夫人の手」、「銀簪」、「蝦蟇の血」が怖く、屋敷の来歴や化物屋敷と呼ばれるようになった経緯が次第に明らかになっていく「化物屋敷」は淡々と調べているからこその主観性をなるべく、排した事実の怖さがあります。「妙な話」はラストのどんでん返しがミステリー的だと思います。
2012/08/14
メタボン
☆☆☆☆ 食べるものがどんどんグロテスクになっていく「村山槐多・悪魔の舌」、女窃盗狂の手が恐ろしい「大泉黒石・黄夫人の手」、空間を超越する赤帽「芥川龍之介・妙な話」、子供を失くした哀切さが美しい文章から溢れる「室生犀星・後の日の童子」、殺人犯を泊める「岡本綺堂・木曽の旅人」、殺めた女の簪により我が子を亡くす「大佛次郎・銀簪」、霊媒女との交流が官能的な「川端康成・慰霊歌」。怖さよりも文章の見事さに惹き込まれる作品が多かった。
2022/08/25
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