日本怪奇小説傑作集 2 (創元推理文庫)
日本怪奇小説傑作集 2 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
踊る猫
江戸川乱歩や横溝正史といった正統派(?)のミステリ作家たちは、ホラーを書かせてもその凄腕を見せつける。とはいえ、私が興味を惹かれたのはこれまで読まず嫌いで通して来た山本周五郎だった。静かな迫力を感じたのだ。どの作品も日本語が美しく、特に幸田露伴の語り口は滑らかで読んでいて心地良い。改めて東雅夫というアンソロジスト/マエストロの腕前に唸らされた次第。アンソロジーはやはり読んでいて楽しい。知らない山本周五郎を読みたくさせられた。悪く言えば、やはり泡沫の作品も混じっているところ。どの作品とは言わないけれどね……
2019/08/04
メタボン
☆☆☆☆ 人そのものが花となる「城昌幸・人花」「山田風太郎・人間華」。愛人の死体を飾る「横溝正史・かいやぐら物語」。男を死の虜とする美女「久生十蘭・妖翳記」。女が恐ろしい「円地文子・黒髪変化」。典型的な怪談「遠藤周作・蜘蛛」。
2023/01/05
藤月はな(灯れ松明の火)
文語めいた会話に苦労した「人花」は花と人間の愛の子の末路にほろり。「海蛇」は「人でなしの恋」と似た雰囲気を感じながらも反対に最後にぞっとしました。「鬼啾」は最後まで相手の大切な人を奪うことで狂わせた復讐、「復讐」はこれからも付き纏う予感の描写が凄まじいです。中国の屋敷版、四谷怪談である「怪談宋公館」は本当に怖かった・・・。前世の木乃伊と現世の自身が出会う「木乃伊」は印象的。「人間華」はエロティック。「妖翳記」は魔性に嗤う位、戦慄。運命の出会いと一時の切ない別れを描く「その木戸を通って」しみじみとしました。
2012/08/15
あたびー
あまりに時間をかけすぎてはじめの方を忘れたので、再読することに。
2019/08/21
5〇5
日本の怪奇小説の変遷を辿る第2巻は、昭和初期から中期までの約20年間の作品群だ ♦怪奇、怪談、幻想、恐怖など意外にバラエティ豊かである ♣幸田露伴、火野葦平、中島敦、三島由紀夫、円地文子ら純文学界の顔ぶれも楽しませてくれる ♥純粋に怖い話、不気味な話を突き詰めたという印象だ♠アンソロジーでしか出逢うことができない贅沢な一冊である。
2021/10/29
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