堕ちたる者の書 (パラディスの秘録) (創元推理文庫)
堕ちたる者の書 (パラディスの秘録) (創元推理文庫) / 感想・レビュー
HANA
ダークファンタジー。性転換、男装、アンドロギュノス。男と女、互いの性は軽々と超越され、溶け合い混じり合って至高の破滅へと流れ出していく。どの話も退廃と混沌に満ち溢れているが、昼は尼僧夜は男装の盗賊の二重生活を描いた「黄の殺意」が何とも素晴らしい。汚穢が聖へ移り変わる一瞬を描いた描写など、まさにこれがファンタジー。残りの二編も素晴らしいが、こちらは魅入られながらも逃れられないというファム・ファタルを描いたようにも受け止められる。ただしそこでも普通の運命の女とは異なり、互いは溶け合い混ざり合って……。
2015/11/16
波璃子
読了するのに時間がかかったし読むのに疲れる。それだけこの耽美で退廃的な世界が濃厚なのだろう。聖なるものが邪で、邪なものが聖なるものになるというこの不思議な感覚はパラディスでしか味わえない。「黄の殺意」が良かった。
2015/02/20
あ げ こ
男であり、女であるもの。その二つの性を超えたもの。醜悪であり、優美であるもの。苦痛であり、喜悦であるもの。性は囲い。それも酷く矮小な。彼等を前にしては。男に、女に、姿形を自在に変え、そのいずれをも悠然と超えて行く彼等を前にしては。それほどまでに魅惑的である彼等の交歓と破滅の数々。変化はすべて唐突に訪れる。心傾けるべき予兆などない。何もかもが不意に、けれど当然のような顔をして訪れる。出迎えた方もまたその訪れを意外に思う事はない。滑らかに超えて行く。わかっていたと。彼等は毅然と果たし、受け入れ、超えて行く。
2016/10/20
tobi
どの話も男と女の性がめまぐるしく変化。それに追いつけなかったのが「紅に染められ」。「黄の殺意」は主人公の変貌ぶりが残酷であるが、痛快にも感じた。翻訳のことばが美しかったけど、原文はどうなっているのだろう。。。
2016/03/06
warimachi
角川ホラー文庫で過去に既読。読み直しても「黄の殺意」のインパクトがすごい。
2020/07/03
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