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ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元推理文庫)

ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元推理文庫)

ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元推理文庫)

作家
ヘンリー・ジェイムズ
南條竹則
坂本あおい
出版社
東京創元社
発売日
2005-04-09
ISBN
9784488596019
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ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元推理文庫) / 感想・レビュー

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sin

主人公が見たとするものを棚上げにするならば、本文の思わせぶりな表現と相まって彼女の強迫観念の果てとしか思えない言動等は、夫人をやがて子供達をも追い詰める女性心理の疑心暗鬼な思い込みとしか見えない。立場を変えて前提として心霊の存在を云々するのであれば、これは技法であって、その実証は事ほど左様に世間の眼には判断しづらいといったふうな当時の知識人の心霊贔屓が感じ取れてしまう。◆英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊を読破しよう!http://bookmeter.com/c/334878

2015/08/12

藤月はな(灯れ松明の火)

第63回海外読書会(テーマはゴシック・ホラー)。再読すると子供達が自分を悪い子だよと告白する時の大人達の対応は異様だ。「子供は無垢で全てにおいて大人の保護が必要だ」と盲信し、子供達の意思も知らずに束縛するかのような言動が鼻につく。また、ダグラス婦人はもしかしたらクゥイントンが見えていたかもしれない。なぜなら学校、職場、或いは家庭であったとしても、人は嫌いな人間や自分が見下している人間をあたかも存在がないかのように無視することは今でもあるからだ。しかし、最後の「心臓」はheartなのかspiritなのか

2016/05/27

藤月はな(灯れ松明の火)

解釈ごとに印象が異なってくる表題作。特出すべきは亡霊が現れた現象に客観的な証明ができないことだ。そのため、怪談話で話すことになったダグラスという語り手が話す「語り手=先生」の懺悔という形式の手紙で知り得た話という、茫漠として信頼ができるかも判断できないものから解釈しなければならない。そして前提となる階級社会が遠のき、忘却の淵にある現在では、現れた亡霊や登場人物の言動の解釈が無限に広がる。それが一層、現象を不可解に見せ、言動の違和感を倍増させるのだ。それがこの作品が今でも怖い作品として残っている理由となった

2014/05/16

藤月はな(灯れ松明の火)

私にとって夏に読みたくなる怪談の一つが「ねじの回転」である。最初に怪談会でギビング女史の話について仄めかしたディヴィッドとは何者だったのか。そしてギデンス女史の最初で最後の恋の相手とは誰だったのか。謎は解決されず、煙に巻かれる。また、ミステリーとして読むとマイケルとフローラの伯父が財産搾取の為に貞淑さへの固執が強すぎて妄執化しているギデンス女史を刺客として送り込んだのかもしれない・・・。そして教会に頑なに入ろうとしないギデンス女史に映画『ウィッチ』の邪悪さすら覚える双子に感じた不気味さを覚えてしまった。

2024/07/10

カフカ

有名な「ねじの回転」の他に怪奇譚四篇を併録した短篇集。「ねじの回転」最初から最後まで霧に包まれたような陰鬱な雰囲気が漂う。登場人物の視点により異なる恐怖が、読み手を不安にさせる。屋敷に住まう美しく妖しい少年と物語の語り手である「わたし」、二人の関係にはおぞましさと美しさという相反する感情が芽生えた。読み終えた後も物語にずっと思いを巡らせていて、完全にこの物語に引き込まれています。その他の短篇もどれも読みやすく面白かった。特に「幽霊貸家」の驚きの結末と、後に残る切なさが良かった。

2022/11/17

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