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10月はたそがれの国 (創元SF文庫) (創元推理文庫 612-2)

10月はたそがれの国 (創元SF文庫) (創元推理文庫 612-2)

10月はたそがれの国 (創元SF文庫) (創元推理文庫 612-2)

作家
レイ・ブラッドベリ
宇野利泰
出版社
東京創元社
発売日
1965-12-24
ISBN
9784488612023
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10月はたそがれの国 (創元SF文庫) (創元推理文庫 612-2) / 感想・レビュー

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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

使者はリンゴの匂いとともに十月というふしぎないきものを連れてくる。秋の風はどこか死に向かって。 攫ってさらって愛しいひとと水の底に沈もう。掬って救って、いつまでもあの頃のままで、彼の人の求める姿で死の果てから蘇ろう。刈りとるのは私の命か愛しいひとの喜びか、稲穂だけは無限に美しく垂れるのに。 限られた楽園を抜け出して、死ぬというのは、なんてすてきなことだろう! たそがれの国は死者が支配する。グロテスクで美しい、秋のおとずれ。

2019/10/22

ケイ

どの短編も、収束のさせ方がさすがで、嫌な味でもするりと飲み込んでしまう。なんてことはない日常の中で、何かの一点が気になって仕方なくなったら、ブラッドベリの「トワイライト・ゾーン」に、迎え入れられてしまうわね。気をつけなきゃ。『こびと』鏡の中の自分を見る小さな男。他の人の秘密を覗き見るなかれ。『次の番』一番好き。彼女はね、さっさと帰って幸せにひたったの。そう私は思う。イヤなおとこ!『群集』そうか、あなたもその1人になるのね。なんて仲間入りだこと。『下水道』パタンと閉まった、閉まった…、出られない。

2018/10/17

かりさ

美しいタイトルに幻想豊かな表現の世界…ブラッドベリはSF作家という認識でしたが、文学的で詩情と抒情あふれる世界に深く魅了されました。掌握の中で紡がれる各物語の色彩の豊かさに惹かれます。どこか寂しく泣きたくなるようなたそがれの光。まばゆさは和らぎ、より色濃く影を落とす時。意識が闇へと入り込むような怖さと、一方でその闇になぜか心惹かれ漂いたくなる穏やかさがこの作品に感じられ、とても堪能した日々と時間でした。ブラッドベリの旅はまだまだ終わりなく続きます。

2019/01/25

パトラッシュ

数十年前の中学時代、初めて読んだブラッドベリ作品だ。SFのつもりで読み始めたが、たちまち初体験の幻想世界へ引き込まれていった。どの作品も死や喪失がテーマであり、美しさと怖さの連続で短いながら読後感は重い。しかし散文で書かれた抒情詩のような文章に引き込まれて夢中になった。特に「みずうみ」は何度繰り返して読んだことか。告白すると自分がハロルドになって幼馴染の女の子を失う経験をしたいと願ったほどだ(厨二病もいいところだが)。ブラッドベリの綴る物語には間違いなく人を中毒にさせる危険な麻薬成分が含まれていると思う。

rico

十月中にぎりぎり読了。夜の闇が深くなり、青空が淡く澄んでどこか寂しさを湛えてくる。そんな季節にどこからともなく訪れる「何か」と、それに魅入られる人々。グロテスクで、怖くて、美しく哀しい物語の数々。大好きなのは「みずうみ」と「大鎌」。せつないホラーです。ダッドリーストーンやアンクルエナーの結末にはほっこり。十月の終わり、本棚の奥からぼろぼろになった1冊を引っ張り出してきて、何10年ぶりかでブラッドベリの世界を堪能、幸せでした。この本のことを思い出させてくれた読友さんに、心から感謝します。

2018/10/31

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