いたずらの問題 (創元SF文庫 テ 1-11)
いたずらの問題 (創元SF文庫 テ 1-11) / 感想・レビュー
ニミッツクラス
92年(平成4年)の税抜515円のSF文庫初版。訳は大森氏で18年に新装で復刊。初期作品ながら、ディックらしい“時代設定の既成事実化”があり、背景となる“道徳再生運動”の消化にシニア読者の脳メモリ(4G一枚)は負荷でアップップ。北海道をも更地にした戦争ののち世界は再興し、モラル重視の強化隣組みたいな社会となる。番組制作会社社長のアレンは体制に微妙な反発を感じ(るようだ)、人生の緩衝材不足の打開に立場を利用した壮大なペテンを仕掛けて一石を投じる。いたずらとユーモアは同義で、人の心的傾向なのだね。★★★★☆☆
2021/05/12
秋津
ストーリーがかなり単純で思ったよりずっと明るい話だった。最後のいたずらは傑作。
2016/11/06
スターライト
「道徳再生運動」(モラル・レクラメーション、略称モレク)によって世界が統一され、集団相互監視システムが徹底された近未来。モレク運動の創始者であるストレイター大佐の像に「いたずら」をした主人公アレンは、そのことが発覚しないかと恐れていた中、テレメディア社の局長就任を打診され引き受ける。像へのいたずらは彼の無意識の行動の結果であり、その後も自分では不可解な行動をとることに不安を覚えた彼は、メンタル・ヘルス・リゾートで診察を受ける。ユーモアをディックが料理すると、こうなるという見本。地味ながらディックらしさ満載
2012/06/02
がんぞ
'56年。第三長編。’72年、全面核戦争により荒廃した北米大陸(共産圏は壊滅らしい)に(英国が内戦で混乱した時期に信仰復興した軍で救国の英雄となったクロムウェルのように)(あるいはアフガニスタンのタリバンのように)道徳的規律をもってストレイター大佐は社会を再建した。その維持に、階層化されたコミュニティーの相互監視があるのだが。主人公は政府広報ビデオメッセージを作成する職で社会的地位が最上だが危険も大きい。緊張ばかりでは劣化するが‥そこはメンタルヘルスリゾートという精神科があり、加えて妻も優しく彼の非行を‥
2016/10/04
けいちゃっぷ
こんなんでも最後まで読まされちゃうから凄いわ。
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