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スター・ウィルス (創元SF文庫 ヘ 2-3)

スター・ウィルス (創元SF文庫 ヘ 2-3)

スター・ウィルス (創元SF文庫 ヘ 2-3)

作家
バリントン・J・ベイリー
Barrington J. Bayley
大森望
出版社
東京創元社
発売日
1992-05-01
ISBN
9784488697037
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スター・ウィルス (創元SF文庫 ヘ 2-3) / 感想・レビュー

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催涙雨

ベイリー流のスペオペというかなんというか。ベイリーの作品はあまり登場人物への感情移入を生まないことが多いように思っているのだが、本作もその点は顕著だった。なんのためらいもなく登場人物が切り捨てられていく様子はおよそ群像劇的ではない。内容としては、神のような何者かが定めようとした銀河で人間が期せずしてその定めに抗っていた世界の話。次第に主人公ロドロンは人間として意図的に理のようなものに逆らい始める。タイトルが人間を指しているところからもわかるように、人間と宇宙の関係性に対する揶揄のようなものを含む作品。

2019/07/15

ざるこ

恒星間航行技術で銀河中心へと進出した人類と高知能アルマジロ型の異種族ストリール。ストリールから奪った無数の映像が映し出される不思議な巨大レンズに魅せられた宇宙海賊ロドロンの探索。ベイリーの処女長編とのこと。「カエアンの聖衣」なんかが既読だとちょっと堅苦しい感もあるけど、あっさり仲間が死んだり主人公ロドロンが結構ゲスだったりやっぱりおもしろい。人間の所業に対する皮肉もあるけどラストに遠大な宇宙を感じさせてくれるとこが好きだ。レンズの中の映像のひとつ、残虐非道の僧侶がイメージしたまま夢に出てきてもうびっくり。

2022/08/31

おーすが

カエアン、永劫回帰、時間衝突と読んで、四冊目のベイリー。大森望訳の処女作。他作品に比べて遊びが少なく若干期待に欠けるけど、時を駆ける海賊デッドライナーたちの心無い描写とか、ラスト、場面がぽんとアンドロメダまで飛んじゃうとことかやっぱベイリーだなあという感じがして好き。67パーセントが5隻分、助かる確率は0.4%。当然の報いと言うものだ。とか言ってる陰鬱でなげやり、全然ヒーロー然としてない主人公もおなじみで安定の良さ。

2019/11/12

ニミッツクラス

92年の初版(450円)を読んだ。原題(=邦題)は意味深。ベイリーの70年の処女長編で、舞台やハイテク有りきの設定はスペオペとして王道。但し、荒唐無稽さを嫌ったのか、腰の引けた展開や死者の多さが、直球を三振したような・・せっかく詰め込んだ様々なネタを活用しきれていない印象はある。“天の川銀河”の縁から10万光年しか恒星間航法で進出できない理由とは何か?なんて、ネタとしては最上級物だと思うのだが・・物語の本筋ではない。ともあれ、主人公ロドロンが窃んだ“レンズ”を巡る異星人との争いの趨勢は如何に。★★★☆☆☆

2015/05/25

yunomi

内と外が反転する、と言葉で表わすのは簡単だが、では、それは具体的にどういう状況を指すのか。イメージとしては、風船を膨らまし続けた結果、膨張した空気が表皮を突き破り、破裂した風船を取り囲む空気の一部となる事で内が外になり、外が内になる様な現象である。説明しようとして余計によく分からなくなってきたが、本作のラストシーンではそうした破裂の瞬間のエクスタシーが感じられたし、『カエアンの聖衣』が志向していたのも、内と外という関係に亀裂を走らせ、世界のあり様を揺らがせる事であった筈だ。

2016/06/24

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