銀河英雄伝説〈9〉回天篇 (創元SF文庫) (創元SF文庫 た 1-9)
銀河英雄伝説〈9〉回天篇 (創元SF文庫) (創元SF文庫 た 1-9) / 感想・レビュー
カピバラKS
●男女のことに疎い皇帝ラインハルトと、男女のことにズブズブの総督ロイエンタール。この二人を軸に描かれる。●さて、本シリーズは、世の中に絶対善と絶対悪は存在しないと示しつつ、大衆煽動家と宗教家を酷い悪役に描く。両者は民主主義信奉者のヤンに対する攻撃を始め、悪業三昧てんこ盛りである。●しかし、民主主義が集団意思決定で多数決を採用する以上、多数派工作に有用な大衆煽動と宗教は、民主主義と切っても切れない関係にある。民主主義下の大衆が、煽動と宗教に向き合う難しさを想う。
2024/08/14
ぶち
こんなにも短い時間の間に次々と英雄が亡くなっていくとは...。この物語の英雄たちは、誰もが戦場にいるときが一番活き活きと輝いているんです。でも、戦いには敗者が付いて回るもの。そんな彼らを見ていると、平家物語の一節 "盛者必衰の理をあらわす。おごれる人も久しからず" が思い出されてきます。それにしても、自由惑星連合に続いてローエングラム王朝も衰退していってしまうのでしょうか。それとも、ユリアンや新たに産まれたラインハルトの子に次の物語が託されていくのでしょうか。あと1巻で完結です。どうなるのでしょう?
2021/12/28
おかむー
全10巻の物語もいよいよラスト前、前巻の衝撃をを受けてなお最終巻への単なる橋渡しにはならない展開はさすが。『よくできました』。シリーズ前半から存分に伏線が張られていた期待の高いロイエンタールの叛乱。相打つ双璧となったミッターマイヤーの苦悩と戦後のほろ苦い救いが光るだけに、「ラング、地球教といった小物の陰謀に踊らされてやむなく叛く」という印象になってしまった導入が少々もったいない。とはいえ、戦乱が終息へ向かうなか、持てる力を尽くしたという意味では軍人の本懐ともいえるのか。
2017/10/13
かえで
シリーズ9巻目。「遅いじゃないか...」前巻であれだけのことがあったのに、今回も大きな出来事が起こります。終盤ということもあり、思い入れのあるキャラクターたちがどんどん退場していって辛い。悲しいけど、これって戦争の話なのよね..とページをめくるたびに実感せずにいられない。登場人物たちの生き様に強く惹かれます。次でいよいよ最終巻。この壮大なスペースオペラがどのように終息するのか..楽しみです。読み終わってしまうのがさみしいけど、楽しみです。
2018/07/23
金吾
○物語がラストスパートに入ったことを認識させる一冊です。組織の規模が大きくなると上下の意思疏通は困難になり、功臣が反乱を起こしたり処刑されることは歴史上多数の例があり、それに付言した話かなと思います。ラインハルトはリアリティーを追究すればいい軍隊の指揮官に向いているのかもしれませんが、施政者としては性善説すぎ向いていないかもしれないと思いました。
2020/07/05
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