司政官 全短編 (創元SF文庫)
司政官 全短編 (創元SF文庫) / 感想・レビュー
GaGa
「司政官」を早川文庫で読んだのが十代の時、ある意味再読であるのかも知れないが、もう、一からやり直す形で(少し違うが・笑)全話読んだ。素晴らしい!「かれらの中の海」もそうだが、眉村氏の本格SF作品は現代で読んでも完全に通ずる。むしろ現代でこそのような気もしてきてしまう。「遥かなる真昼」「遺跡の風」は内容も覚えていたが今読んだ方が感銘が深かった。これぞ、大人のSF小説!これを全一冊で刊行した東京創元社に大いなる気概を感じる。未読の方で、大人でSF好きならば是非とも読むべし。
2011/09/05
山口透析鉄
短編集「司政官」「長い暁」時代は学生時代にハヤカワ文庫の古書で読了していますが、kindle unlimitedにあったので、再読しました。 時系列に整理してありますので、制度ができた頃から衰退期への流れ、より把握しやすくはなっていました。 司政官、真っ当であろうとして、なかなか苦戦ばかり、です……。 個人的には短編での試行錯誤から2大長編「消滅の光輪」「引き潮のとき」が生まれたのでしょうから、故・眉村卓氏が本領を発揮したのは長編だったようには感じます。 非常に読み応えがあるシリーズです。
2023/05/13
JACK
○ 24年に渡って描かれたSFシリーズの短編7編をまとめた作品集。人類が他の星系に進出し、植民惑星を作った時代。異なる生態系、文化を持つ原住者と、地球からの植民者を共栄させるため、地球連邦の連邦経営機構は圧倒的な権限を持つ〈司政官〉を派遣していた。沢山の官僚ロボットを従えて惑星を統治する専門家の彼らと、その星の原住者、植民者との関係を描く物語。植民惑星や原住者の描写が詳細で世界観に圧倒される。途中で飽きつつも、シリーズの大長編で数々の賞をとった「消滅の光輪」上下巻を読む準備としてなんとか読み終えました。
2019/01/19
kokada_jnet
「眉村卓は、本人が主張するインサイダー文学論に匹敵する作品を書けなかった」というのが実際のところだと思う。眉村作品を国家公務員が読んで面白がるとは思えない。むしろ、小松左京のほうが、インサイダーが読んで面白い作品を書いていた。
2017/08/21
kokada_jnet
一つの惑星社会全体を描くという、これだけの設定で、この程度の話にしかならないのかという、ガッカリ感が。ジャンルSFの限界と、眉村卓の作家的な限界と。司政官のマッチョイズムも、時代の制約だが、もう少し何とかならなかったものか。『消滅の光輪』『引き潮の時』という大長編では、「司政官の苦悩と自問自答ぶり」が芸として面白かったが。短編では「SFのアイディア・ストーリー性」が如実に出てしまっていて・・・。
2013/03/18
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