消滅の光輪 下 (創元SF文庫 ま 1-3)
消滅の光輪 下 (創元SF文庫 ま 1-3) / 感想・レビュー
MICK KICHI
眉村卓さんのライフワークである、インサイダーSF小説、「司政官」シリーズの根幹を成す長編。緻密な構成と圧倒的な世界観の創造から得られる知的興奮の醍醐味が素晴らしい。宇宙へ生存圏を広げた人類の世界を統治する為に絶対的な権力を与えられた「司政官」マセを主人公に、消滅の危機に晒された恒星圏を舞台にした活躍を「司政官」の目線でその存在意義を問う構成となっている。ジリジリするような政治駆け引きのリアルさにSFである事を忘れさせる迫力がある。又、練られた壮大な仕掛けに思わず舌を巻いてしまう。
2019/11/23
ぐうぐう
司政官マセは、太陽の新星化に伴う脱出計画遂行の渦中、連邦の支配欲と植民世界の自立欲求の調整役として、かつてあった司政官制度の確固たる存在理由が、もはや機能していないことを(つまりは矛盾を)実感する。しかし、やがてマセは、司政官として生きる中で、自分自身の個性を発見していくのだ。学生時代、眉村卓氏にインタビューする機会があったのだが、そのとき氏が「僕はもうハイテクを追いかけない」と発言されたのを聞いて、若かりし俺は「それは少し後ろ向きではないか」と生意気にも心の中で呟いたものだ。(つづく)
2012/01/12
k16
20150829下巻読了。 後半も暴動、凍結、先住者問題といろいろあっておもしろかった。
2015/08/29
本の蟲
司政官マセは植民星ラクザーンの太陽新星化の情報を公表し、同時に緊急指揮権を発動させた。それは事実上、昔日の司政官独裁体制の復活であった。住民の反発を抑え込み、連邦軍の介入を拒み、各地で起こるデモを鎮圧しながら着々と避難計画を進めるマセ。しかしある日、避難計画に一人も参加していない先住民との接触により、先住民の秘密と宇宙における生命の法則を知ることになる。太陽新星化や住民退去になんの関心も示さない先住民の秘密とは? そしてそれを知ったマセが最後に下す決断とは?
2020/12/25
イツキ
無理矢理で乱暴な政策を押し通してでも住民すべてを避難させようとするマセと見え隠れする巨大な組織による陰謀、1人でできることの限界に悩みながらも自分の信じるものを押し通そうとするマセの姿が強く印象に残りました。一つの場所に根を下ろしやがて時間を超越した宇宙的存在となっていくチュンデ型生命と一つの場所にとどまらず広い空間を股にかけて広がっていくハムデ型生命という概念がとても印象的で興味深かったです。
2018/01/02
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