世界の果ての庭 (ショート・ストーリーズ) (創元SF文庫)
世界の果ての庭 (ショート・ストーリーズ) (創元SF文庫) / 感想・レビュー
そる
連作短編のバラし?数種類の話がバラバラになって、続いているが各話は交差しない。これを遠いところから見たらパラレルワールド的で広い世界でSFのようである。実際SFとジャンル分けされているのに駅のような建物の話と若くなる病気の話くらいしかSF要素はないので、これはやっぱり全体で見て何となくSFかなーってことかも。「「弱い」のが好きというのは、自分が守ってやりたいということなのだろうか。(中略)わたしは「優しさ」にも弱い。それはわたしもやはり理解されたいと願っている証拠だった。(後略)」
2019/03/09
kana
なんともいえない心地よい浮遊感をただ心ゆくまで楽しむのがきっと正解。多次元的に緩く繋がるショートストーリーズ(連作短篇集とも違う)の断片が散りばめられた本作は、まるで様々な雑誌を切り抜いて創った色とりどりの美しいコラージュのようです。著者の翻訳した『瓶の中の手記』がとても好きだったのですが、特に列車のプラットフォームが何層にも連なる世界を、影に追われながら彷徨う物語には同様な趣があり、その仄暗い世界観に妙にときめいてしまいます。すっきりはしないけど、読み終えてもまだ蒼い霧の中にいるような余韻が残ります。
2018/05/25
南雲吾朗
すごく興味深く、面白く読めた。はじめは連作短編集だと気付かず。少しづつ日を置いて読んでいた。途中で気付き、もう一度初めから読み通した。 富士谷御枝の「いれひも」や渋谷緑童や日本の文学、文法を語るのと同時に、庭園の歴史、様式、庭園の意味合いも語られ、それに加え死後感の物語りも含まれる。それらが妙に合わさって一つの本になっている。互いに絶妙なバランスを取りながら物語は進む。この本は、本当に面白い。最後の解説を円城塔さんが、描いているが、その文章も、まさしく円城さんらしく、言葉遊びに富んだ面白い解説だった。
2023/06/12
sin
これは物語自体の物語、物語のなかの創作、創作のなかの夢想、まるで夢の様な断片の物語。否!帰着する場所が定まらない悪夢の様…。ここで展開されるロジックに曰く物語は読むと云う行為がなければ成立しないそこには一冊の本が存在するだけ、しかし本として存在しているという事実は例え私が、または貴方が読まなくても物語が成立していると云うこと…と述べているかのようだ。
2015/06/03
たまご
わかった感はまったくないんですが,家と庭と外とか,短歌の構造とか,複数の話がゆるくつながってそうな雰囲気とか,そこから新たに関係性を作っていくでもないちょっと緩い雰囲気とか,なんか,夢のまとまりのなさにいるような.そしてどこまで行っても果てないけど,果てと思えばそこは果てなのかも,とか.緩い感じが心地よい,なんて浅い感想でスミマセン.
2018/05/26
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