図書室の魔法 下 (創元SF文庫)
図書室の魔法 下 (創元SF文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
残りのページ数が少なくなるにつれて、どんなエンディングが用意されているのだろうかと楽しみであるよりも、むしろ心配しつつ読み進めていたのだが、最後は唐突とも思える結末であった。母親(魔女)との魔法による直接対決は予想通りであるにしてもあっけない上に、正と邪が二元論的な対立を見せてしまうのは残念である。これまでに語られてきた膨大なとも思えるSF作品に並ぶばかりか、そこに新たなページを(できれば金字塔をうち立てるごとく)付加するべく企図されたはずの本書。各賞において評価は高いが、期待値には遠く及ばなかった。
2024/09/10
Die-Go
図書館本。最愛の双子の妹を亡くし、狂気の母の元を離れ、生まれてから一度も会ったことの無かった父と出会うが、寄宿制の学校へと入ることになってしまったモリ。彼女には他者には見えないフェアリーが見えていた。そして、生き甲斐とも言える読書の繋がりでウィムと言う美青年と出会うこととなり…結末にはちょっと意外な感じを受けたが、彼女の成長物語として捉えるならこれもありか。70年代末期の雰囲気がそこはかとなく流れている所も良い。★★★★☆
2019/03/11
ユメ
孤独に生きる少女モリ。本に縋るという行為に身に覚えのある者としては、上巻を読んでいる時からずっと彼女に「大丈夫だよ」と声をかけたくてたまらなかった。フェアリーが見えることは間違いなくモリの人生を豊かにしているけれど、カラースと出会えたのは魔術の力じゃない、モリ自身の魅力が引き寄せたんだ。そう伝えたかった。だから、彼女がこちらの道を自力で歩いてゆくと決めたことは本当に嬉しかった。「本を心の底から愛したならば、本もあなたを愛してくれる」彼女を支え続けた本は、最後の最後に幾重にも力を発揮してモリを救ってくれた。
2015/07/12
藤月はな(灯れ松明の火)
モリの高潔さに対し、3人の伯母の自分の思い通りにしないと気が済まないことを善意と見なして押し付ける様が気持ち悪い・・・。子供がピアスを頑なに拒んでいるのにいつまでも猫なで声で「ピアスの穴を開けましょうね」なんて言うなよ、気色悪い!!対してサムが素敵すぎていい祖父を持ったモリが羨ましくなります。生きるきっかけって本当に些細なことから始めるだろうけどその小さなことこそが大切。「本を愛したならば本もあなたを愛してくれる」は最高に勇気づけられる言葉だと思います。それだけで本に救われてきた者は報われる気がします。
2014/07/15
Willie the Wildcat
原題『Among others』に納得感、そして邦題に共感。身内を含めた様々な人たちと、心身共に成長。見出した「生」の意味と意義。(恋愛という意味だけではなく)ウィムが自然に広げた主人公の世界。物心両面で、心の解放となる過程が印象的。中でも、バレンタインデーの”3人”での食事の場面はとても温かい。つまらないことだが、大晦日の日記が無いのは何故だろう?因みに、iPhoneで”フェアリー”とタイプすると、ティンカーベルのような可愛いイラストが出た!何気に癒された気持ちになるなぁ。
2020/01/18
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