旋舞の千年都市〈下〉 (創元SF文庫)
旋舞の千年都市〈下〉 (創元SF文庫) / 感想・レビュー
わたなべよしお
イスタンブールを舞台にした群像劇と言えばいいのだろうが、イスタンブールは舞台であると同時に登場人物の一人でもある、と言った方が適切だ。なんと魅力的な街だろう。「蜜人」の話など、かつ一人一人の物語もそれぞれ一冊になるほどだと思う。それだけにやや食い足りないというか、もっと分量があっても良かったかもしれない。読後感はとても良い。
2016/06/18
スプリント
終盤までの展開が非常にスローだったので最後は盛り上がったようにみえますが結末はあっさりしてます。世界観が気に入った人にはお勧めしますが上巻で見極めても問題ないです。
2016/08/16
マト文庫
近未来のイスタンブールで僧院だった建物に暮らす6人の運命が交差する。物語の中心的事件が本格的に動き出すのは下巻の中段に差し掛かるあたりなので、それまでがどうにもまどろっこしい。その割には中心的事件の解決のくだりがあっさりしていて、それまでの長さは一体何だったんだと思いつつ、ようやくそこで事件そのものより主人公たちの行動によって描き出される過去から近未来へと連なるその都市こそが主役なのだと気づく。昨夜起きたイスタンブールの国際空港での自爆テロのニュースと重ねながら、きわめて今日的な小説だとあらためて感じる。
2016/06/29
銀河ヒッチハイカー
等身大の近未来小説。都市SFということもありちょっとミエヴィルっぽい。同じ建物に住む6人の主人公たちによって物語られる。それぞれの行動が影響しあって進む。後半になるにつれその度合いが加速。今の世界の延長線を描いているのでSFに超技術や人類の進化や世界の真実を求める人には合わないかも。とはいえ生活に溶け込んだ未来の技術がリアルに描かれていて大満足。小説として普通に面白いこともありSFを普段読み慣れない人も楽しめるはず。
2016/06/27
fukumasagami
《小さな文字》とアイシェは思う。小さすぎて読めない文字によって書かれた、より小さな言葉によって書かれた言葉。この部屋で、この机のところで警官のアクギュンは、細書術の力は小さくなればなるほど増すのなるのだろうかと考えた。フルフィーたちは、神の最後の名前はすべての原子に書かれていると信じた。世界は書かれている。現実は転写される。瞬間瞬間。無限に転写されて、ひょっとしたら宇宙の秘密は、人の心に刻まれているのかもしれない。
2017/10/29
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