月の部屋で会いましょう (創元SF文庫)
月の部屋で会いましょう (創元SF文庫) / 感想・レビュー
えりか
少し不穏なロマンチックSF。愛は奇妙。時間も距離も価値観も何にも縛ることはできないくらい奇妙。愛ゆえに現実から世にも不思議な世界にはまりこんでしまう。恋人のあの世からの、過去からの、月からのメッセージが届くのだ。なんてロマンチックで、なんて不思議で、なんて危険なのだろう。あ、愛に落っこちそうと思った時には、もう不思議な世界に落っこちているのだ。手編みのセーターの中で迷子になり、体は宇宙服になってしまうのだ。愛が奇妙な世界に私たちを誘うのか、それとも奇妙なことが起こるから愛なのか。
2017/12/08
阿部義彦
うーん、こおゆうの好きとしか言い様がない短編ばかりがこれでもかと詰まっています。ナノテクノロジー、死体、ガラクタ、巨大化した昆虫、金魚鉢、宇宙服、掏摸癖の恋人、口ひげ、自転車、めくるめくガジェット達が生み出す、摩訶不思議な物語。理由など問わないで下さい、そもそも初めから問など無いのですから。さあ、アルミホイルのサンドイッチを食べましょう。
2017/10/25
take0
書名からロマンティックな雰囲気の作品集なのかと思ったら違った。結構シュールだったり、ナンセンスだったり。ごく短い作品ばかりなのでサクサク読めるけれど、34編集まってると途中一寸飽きてくるというか。表題作と、肌が宇宙服に変わり宇宙へと飛び立ってしまうという奇病が発生する中の恋人を描いた「僕らが天王星に着くころ」それと「母さんの小さな友だち」「ピンクの煙」が良かった。「家庭療法」はゴ○ブリ(複数)が鼻の奥に棲み着くとかエグい。「ささやき」は就寝中の自分を録音してみたら、誰かの話し声が録音されているとか怖い。
2018/12/17
ニミッツクラス
17年の税抜1100円の初版。米本国01年の第一短編集を創元が14年にSF叢書として刊行、それに米本国11年のアンソからの1編を増補(本邦初訳)して文庫化したのが本書(34編収録)。庄野氏のカバーが良い。総じてディスコミュニケーションを底流とするシュールな作品群。巻頭の「僕らが天王星…」の皮膚が宇宙服に変容する話に、まだSFにはこんな小ネタがあるのかと感心する。「キャッチ」は猫好きには虐待描写で断腸もの。「母さんの小さな友だち」は体内に巣食ったナノピープルを如何にして制圧するかのいてまえ譚。★★★★☆☆
2019/04/09
スプリント
アイデアとプロットが秀逸な作品ばかり。 奇抜なアイデアをきちんと読ませる構成にするスキルに圧倒されます。
2019/09/08
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