流浪の月 (創元文芸文庫 LA な 1-1)
流浪の月 (創元文芸文庫 LA な 1-1) / 感想・レビュー
ミカママ
わたし流の言葉で言えば「恋愛感情の絡まない究極の恋愛小説」(異論は認める)。物語はかつて男子大学生に2ヶ月間拉致されていた、9才の少女が救出される不穏なシーンから始まる。日本中を騒がせたふたりが、15年の時を経て再会してしまったとき…。更紗と文の心に大きく空いた穴、周囲の人々の善意・悪意ある言動、流れるような文章。心がヒリヒリさせられる。秀作。
2022/09/23
さてさて
『この世界のどこかに、わたしをつかんで放さないでいてくれた人がいる。それは十五年間、わたしを支え続けてくれた』。主人公の更紗が心から思う瞬間を感じる様が描かれるこの作品。そこには、その存在を心の拠り所に一日一日を生きていく更紗のひたむきな生き様が描かれていました。巧みな視点の切り替えによって読者が神様視点から物語の全てを俯瞰できるこの作品。この国で一度でも失敗してしまうことの怖さも感じたこの作品。極めて読みやすい物語の中に凪良さんが描こうとされた人と人との間に紡がれた絆の存在に感じ入る絶品だと思いました。
2022/08/11
肉嬢★
映画化されるのを知り予告を観て気になり購入しました。更紗の幼少時代、大人になっても彼氏からのDV…。もう少し幸せな人生を送らせてあげてー!と途中思いながら読んだけど、更紗と文は15年経った後も同じ事を思っていた事を知り何か安堵感✿人には、それぞれ人には言えない言いたくない関係性があると思うけどお互いがお互いを必要としてるのなら良いのではないかと思う。
2022/04/19
読書のーと
幼女誘拐事件の被害者である少女・家内更紗と加害者である19歳の大学生・佐伯文の甘く冷たく切ない愛の物語。 愛の物語だが、恋愛でも家族愛でもないこの2人の関係性は一体何だろう⁇と考えさせられる。 相手の全てをあるがままに受け入れて、ただ傍に居たいと願う事…。 ある意味で、究極の愛の形であるようにも感じる。 世間一般目線からの事件の見え方と、更紗と文目線からの事件の見え方には、天と地程の差があり相容れない。 しかし、2人が消えないデジタルタトゥーを背負いながら生きていく様は、痛々しくもありながら清々しい。
2023/12/31
あきら
とても面白かったです。 人、社会への関わり方、接し方を改めて考えることになる。 自分以外のことって分からない。 優しい人からの優しい言葉に応えられない主人公にもどかしさを感じた自分から、強くそれを感じる。 幸せになってほしい、と思ってしまうこと自体もそういうことなんだろう。
2022/03/11
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