ウラジーミル・プーチンの大戦略
ウラジーミル・プーチンの大戦略 / 感想・レビュー
サトシ@朝練ファイト
たまたま、この時期に手元にあったので。佐藤優の解説が分かりやすい、著者はソ連時代は反ソ・反共活動家で崩壊後は親ロ派武装勢力の指導者の顧問を4年間務めていた、指導者が暗殺された後モスクワに戻りプーチンを支持する青年運動を指導する。「ロシアにとって最大の脅威は、ロシア民族主義だ、プーチンは移民を排除し、ロシア人だけによるロシアを形成しようとする排外主義的民族主義を最も危険視している」うーん、読むタイミングが悪かった?
2022/02/26
羊山羊
「自壊する帝国」に出てきた佐藤氏の盟友サーシャことアレクサンドル・カザコフ氏の大著。過去の分析感を期待して読むと、そこから凄まじい方向転換を見せ、ユーラシアのプーチンを見事に描写する。大事なキーワードは柔道と帝国だ。特に本著中では単純なナショナリズムがロシアの帝国の力を弱めてしまうことを指摘する。本著中での思想への危機感は現代日本でも学ぶべき点は多い。本著は単なるプーチンの分析書としてだけではなく西側論理への警戒の書としての一面も強いように思えた。
2021/09/24
田中峰和
現在のウクライナ侵略が彼の長年の目論見であったことがよくわかる本。非共産主義的なソ連の復活を目指しベラルーシ、ウクライナ西部、トランスコーカサス、キルギスなども勢力圏に置くという計画だ。そのためにはNATO弱体化が喫緊の課題。ウクライナの加盟など到底認められない。著者はプーチンの中に独自の価値基準があると指摘。それは善と悪だ。これに照らした時、ウクライナのNATO加盟は彼にとっての悪なのだ。軍事力をもってしても悪の出現を食い止めなければならない。一方で不人気だったゼレンスキーはこの戦争で人気を回復した。
2022/05/06
れいまん
この本は佐藤優氏の「自壊する帝国」の続編というべきものである。著者は佐藤優氏の親友であり、プーチン大統領の内在的論理ヲ最もよく知る学者である。 ネットワーク的帝国主義がプーチンのロシアのあるべきだとある。ロシアの歴史を見てみると、納得する 1992年にソ連が解体したとき、米国と西側は、自分たちの価値観を押し付けた。騙したこともあったし それにしても、現在の戦争を終わらせるには、米国が早く手を引き、西側が停戦にしていかないとだめだ
2022/12/11
バルジ
率直に言ってロシアの政治哲学に通じていないと読み通すのは相当難しい。まずは巻末にある佐藤優の解説から読んだほうが良い。イリインやストルーヴェを引用しプーチンと統一ロシアのイデオロギーについて論じているが抽象的で難解。しかし面白い点としては帝国ロシアのイデオロギーを「ルースキー」と「ロシースキー」という概念を用いて前者のロシア民族主義を排している点である。著者は多極世界の軸となるプレーヤーとして経済成長等を経ずに大国としてのロシアを復活させたプーチンを高く評価するが今の有様をどう評するか気になる部分である。
2022/08/27
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