「その日」の前に
「その日」の前に / 感想・レビュー
くさてる
終末期のケアを受けている人々へのインタビューと、かれらからの手紙と肖像写真で構成された一冊。人生の終わりを前にしたときに、ひとがなにを思うかということは簡単に答えが出るものではないと思うけれど、すべてのひとにそれぞれの人生があって言葉がある。そんなシンプルなことがとても大事なのではと思いました。暗いだけでもお涙頂戴の本でもなく、かといって人間賛歌とか宗教的な内容でもない。ただ、ここにいるひとびとの生の声です。生きているひとの声です。
2020/03/14
チェアー
「その日」は来る。だれにも来る。ただ、その日をどのように迎えるかは人によって違う。人を罵り、憎み、人生を呪いながら死んでいく人もいれば、愛した人、愛してくれた人を思い、気遣い、感謝しながらこの世を去る人もいる。この写真集に出てくる人は、ほとんど後者だ。人間の尊厳、という言葉を思い返す。そして見えない神を思う人。私は何を思うのだろう。私にもその日は必ずやってくるのに、まだまったく分からないのだ。
2020/02/09
zoros
自分の誕生日祝いに買いました。終末ケアを受けている患者さん達の写真とインタビューと手紙をまとめたものです。 私にも必ず来る『その日』の前に、彼らが教えてくれたことは得難いものでした。
2020/02/05
yoshi
終末期医療、緩和ケアを受けている人たちへのインタビュー写真集。彼らが語る言葉はさらりとしているように見えたり、重く含蓄があり、達観していたり絶望感と希望感が混じっていたり、様々に来し方を振り返り人生の意味や尊厳(まさにQOLとは何なのか)について考えさせられる。自分なら何を語るだろう、何を思うだろう。解説にあるように人は死を前に二極化する、というのではなく、きっと驚嘆、狼狽などの先に心の平安を得るところまでのプロセスがあるんだと思う。
2021/11/14
なーやん
もう表紙から、良き。死の匂いプンプンしてたね。明るくて潔い、通り過ぎる風みたいに、みんなサラッと最期の言葉、綴ります。事実しかないのよ、そこに1人の人間がいて、生きた証があって、もうすぐ向こうに行く。その瞬間を切り取った写真は、刻まれてて、ページの重さも相まって人生が伝わってくる。当事者に近づきたくて、慮るけれど、所詮到達する術もなく他人事で終わる。それでいいし、それが自然。「メメントモリ」ただそれだけで充分でしょ。死は人生の待合室って、パワーワード頂きました。
2021/03/27
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