ホリデイ・ロマンス
ホリデイ・ロマンス / 感想・レビュー
のっち♬
結婚ごっこを叱咤された子供達が空想物語でごっこ遊びを追求して大人の欺瞞を暴きだす。ポケット内の権力をチラつかせて家父長制を反転させるままごと『魔法の魚の骨』、植民地時代式に横暴を行使する海賊ごっこ『ボールドハートの冒険』、大人を寄宿学校へ送り込む『大人の学校』。抑圧的な管理社会の下敷きにされた人々が繰り出す応酬は理想の子供像も紳士淑女像も粉砕する。こうした過激さは晩年作品の特徴なのだが、減退傾向にあったユーモアの活気が復活したのは注目に値する。文体は優しくとも扱うテーマは普遍的で老若男女を苦笑させる一冊。
2023/06/19
みゆき・K
Don’t ! Be good ! 今日も親たちの声が聞こえてくる。ディケンズ最晩年の連作短編集。4人の子どもが作った物語という設定。その動機は仲良し4人組が結婚ごっこをして親や先生に叱られたこと。誰もが最初は子どもだったはずなのに、大人になるとその気持ちをすっかり忘れて、「あれもダメ、これもダメ」と子ども達を管理する。その呪縛から解放されて思うままに生きたいという彼らの願望が現れている。残念なのはヴィクトリア時代の挿絵が、本書のために書き下ろされた日本人画家の挿絵になったこと。原画を採用してほしかった。
2022/04/04
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