天才信長を探しに、旅に出た
天才信長を探しに、旅に出た / 感想・レビュー
鬼山とんぼ
安倍龍太郎ファンにとっては見落とせない重要な一冊。信長の一生を事跡を丹念に訪問して歴史に真実に接近しようとする作者の誠実な姿勢が窺われて、好感が持てた。今では信長の行動の背景にはキリシタン経由の物資や技術、社会秩序の感覚があったことは明らかだが、それが朝廷や公家、寺社勢力の軽視につながることを恐れた近衛前久や誠仁親王が明智光秀をそそのかして本能寺の変が起きた。この後前久が登場したり、キリシタン大名を扱う作品が増えたのは当然の流れだろう。同時期を描く若桑みどりの大作「クアトロラガッツィ」の併読を勧めたい。
2018/02/12
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