生きっぱなしの記
生きっぱなしの記 / 感想・レビュー
templecity
阿久悠の私の履歴書の追記版。若い頃は広告会社と放送作家の掛け持ちで2年間頑張って平均睡眠時間3時間。常に前向きに妥協もせずに頑張る。書き溜めた企画書も糧になっている。70歳という現代としては若くして死んだのは残念。
2020/09/06
ぐうぐう
阿久悠版『私の履歴書』。しかし、単に時系列に阿久の自分史を綴ったものではない。子供時代を振り返りながら戦後を考え、就職先を振り返りながら友人・上村一夫を想い、作詞家スタートを振り返りながら歌謡曲を俯瞰する。そこには、阿久のメッセージが誠実に込められている。結果として、この自伝は、死の気配が漂うものとなった。事実、本書には「遺言」という文字も出てくる。しかし、タイトルが示す通り、阿久はあくまで生きることにこだわっている。そのことに、胸が熱くなる。
2011/09/10
よし
淡路島で派出所の巡査を父にもち子ども時代を過ごす「私の履歴書」の原点。時代は違えど子ども時代の彼に共感していた。紫綬褒章の祝いの会での挨拶がグッとくる。「 小学5年の時に君の文章は横山隆一を思わせる」と言ってくれた先生と、「 あなたは大丈夫よ」というおよそ根拠のない妻の保証と、「お前の歌は品がいいね」と一回だけ褒めてくれた父の言葉と 、この三つを心の支えにして今日までやってきました。」
エリザベス
昭和を駆け抜けた作詞家、阿久悠。昭和のころ、作詞家がいて、作曲家がいて、歌い手がいた。今はいわゆるシンガーソングライター、アーティストと呼ばれる人が増えた。時代とともに歌謡曲の在り方は変わっていくと感じた。
2016/11/11
Haruka Fukuhara
NHKうたコンの阿久悠スペシャルをバックに気持ちよく読んだ。音楽と言葉の結び付きの歴史は古く、古代ギリシャでもそうした交わりは見られニーチェや小林秀雄も両者に深く身を投じているけれど、そうした歴史の中でも最も成功した一人ではないかと思う。晩年の記。
2017/02/09
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