奇縁まんだら
奇縁まんだら / 感想・レビュー
touch.0324
川端の厭人的な人柄を表す話や、三島が美男子を可愛がった話、遠藤周作の死生観は、目の前で見たからこそ語れるリアルな距離感を感じられて非常によかった。全21名の文士のうち、僕が知っているのは12名(作品を読んだことがあるのは7名)。なので、残る9名の章は親戚のおじさんのエピソードを聞いているような感覚になってしまい、不勉強を猛省。各章に「美男」や「ハンサム」といった容姿に関する主観的な情報(三島が剛毛、というのは事実なのでよいとして…)が高頻度で入ってくる点には辟易しつつも、「さすが破戒僧…」と慄いた。
2014/12/01
Roy
★★★★★ とても面白い。寂聴さんが昭和の作家や芸術家との縁を、そしてその輪を、噂話の類いでなく身近に接してきた者として、各御人とのあんなことこんなことをそっと教えて下さいます。わたくしは無学で無知な文学馬文壇鹿素人故、この本に出てくる素晴らしい方々の作品を殆ど存じ上げて無いのですが、それぞれとても興味深く拝読させて頂きました。当たり前ですけど、皆様生きていらっしゃったのですね。身近に感じます。
2009/06/16
佐島楓
著者が出会ってきた、文士(文豪とお呼びするべきだろう)のお話。三島、川端などそうそうたる面々で、作家にとって良い時代だったなあなどと読み進めていたら、不意に胸が詰まってきた。昭和は遠くなってしまった。つい先ごろまでお元気だった方も、どんどん亡くなってしまう。作家は、作品で自己の生存証明をするしかないのだろうか。そんなこともあるまい。こうして人の心に残り、読み継がれていく形になっていくものもあるのだから。
2014/07/13
pirokichi
昨年9月に行った横尾忠則展で購入。積んだままになっていたのだけど、ふと読みたくなって…面白かった。日経新聞に連載された瀬戸内寂聴さんの交友録。島崎藤村、川端康成、三島由紀夫、宇野千代、岡本太郎、遠藤周作…凄すぎる21名の文士たちが生きて!動いて!目の前にあらわれた。文藝春秋が毎年催していた「文士劇」。小林秀雄も三島由紀夫も石原慎太郎も出演して…いいなあ、想像すると楽しいなあ。横尾忠則の画がすばらしく、画集としてもいい。「芸術はきれいであったり、心地よいものであってはならぬ」(岡本太郎)
2022/02/24
それいゆ
芥川龍之介や太宰治の自殺は、遠い知らない時代の出来事ですが、寂聴さんが出会った三島由紀夫と川端康成。45.11.25に三島が自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺。47年には川端がガス自殺。私は当時大学生でしたが、今もはっきりと覚えています。三島由紀夫のときは、昼の時間帯にニュースで流れ、状況が分かるにつれ非常に衝撃を受けたことを思い出します。三島夫人は運転中の車の中で事件を知り、引き返したというニュースを覚えています。川端康成のときは「またか!作家という人種の人たちはいったいどうなっているの?」という印象でした。
2012/03/11
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