等伯 下
等伯 下 / 感想・レビュー
あすなろ
表面描写にとらわれず、本質に迫る奔放な野生の血を宿す絵師等伯の人生を読了。下巻は、政争に巻かれ家族の悲喜交々ありながら絵の途か極める。感動の人生絵巻だった。直木賞も唸く。長谷川等伯の名とこの作品現す人生をきっと僕は忘れない。表紙にもなっている国宝の松林図が彼の人生の到達点並びにそこに至る人生縮図と人生観を表している。本作で知った悲喜交々ありながら邁進する途と共に。感動でこんな感想しか書けない。もっと早く読むべきだった。上下巻共に付けた付箋の数がハンパない枚数であることが証明している。等伯の絵を見たい。
2015/01/24
遥かなる想い
下巻は、狩野永徳と等伯の 対立を軸に展開する。 信長、秀吉に仕え、 美術史上最も有名な永徳が 出てくることで、物語に 緊張感がみなぎる。 読みながら、なるほど こんな手があるのかと 感心していた。とにかく 緊張するのである。 信長、秀吉ほど 知られていない絵師を 題材にした着眼の良さを 感じていた。永徳嫌いの 利休が等伯に近付いたという 裏話も含めて、怒涛の下巻 だった。
2013/08/10
文庫フリーク@灯れ松明の火
【松樹は千年なるも、終に是れ朽ち、槿花は一日なるも、自ら栄を為す】等伯の松林図屏風は四百年余の年月を経て、朽ちること無くその幽玄さを増す。己れの生きざまを貫いて散った利休という、むくげの花の美は褪せることなく現代に残る。山本兼一さん『利休にたずねよ』が浮かぶ槿花一輪「白は無の境地ということや。これからは(自分のせいで)死んだ者を背負ったまま、そこへ向かっていけ」と、白の字に人偏を加え「等伯」と名乗らせる利休の遺訓。狩野派総帥の重圧に卑小さを見せる永徳も、永徳・宗光へ直談判に押し掛ける等伯も、芸術家以前に→
2013/08/02
藤枝梅安
息子・久蔵は永徳の力量と狩野派の伝統に魅かれ、永徳の弟子となる。永徳の父・松栄は息子・永徳の才能を認めながらも、狩野派の将来のために春信とも交流を保つが、永徳はそれが気に入らない。それは春信とて同じこと。等伯と名を改めたのちも永徳への対抗心が収まらない。後半は永徳の死から、等伯が「松林図屏風」を完成させるまでの気迫に満ちた物語となっており、「戯作三昧」に通じる境地を描いている。妻・清子が等伯を評した「業が深くて」という言葉が、この作品の根底を流れている。永徳の「業」と等伯の「業」はぶつかりながらも同根か。
2013/07/03
kaizen@名古屋de朝活読書会
【直木賞】絵師に養子に入った長谷川又四郎信春(等伯)。戦国時代を別の視点から知るのによい物語になっている。信長、秀吉の関係などなど。上が出だしのわかりにくさ、下はまとめる方向のわかりにくさ。
2014/03/16
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