第三の新人
第三の新人 / 感想・レビュー
はるたろうQQ
安岡章太郎、阿川弘之、庄野潤三、遠藤周作が日経新聞に連載したもの。遠藤周作と安岡章太郎のものが良い。遠藤周作は自分を持て余していた若い頃のことを鮮明に書いている。安岡章太郎は小学生までと66歳での入院以降のことを書いていて、とても自在。最後に父母に親不孝を詫びたい、親の死に際に一言詫びを言っておけば良かったと終わるのが感慨深い。阿川弘之は幸福な幼少年期を描く。志賀直哉や谷川徹三が印象的。庄野潤三は父のことが詳しく、彼自身は彼の作品のどこかで読んだことがあることが書かれている。それぞれの作風を彷彿とさせる。
2020/05/25
みや
日本経済新聞に連載された自伝集。本書は「第三の新人」の名手4人をまとめて収録。さすがに皆、上手い。老境までに歩んできた道程を自らが振り返り辿ることで、それぞれの人生の成果をもたらした各人の資質が浮き彫りになっている。安岡氏は現実をありのまま受け入れるところ、阿川氏は鷹揚で楽天的なところ、庄野氏は人との繋がりを重視するところ、遠藤氏は目に見えぬものにしなやかに導かれていくところ、と捉えた。諸氏の個性が出ていて大変面白かった。
2019/04/11
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