最後の紙面
最後の紙面 / 感想・レビュー
シャル
ローマのアメリカ資本による弱小新聞社を軸にして綴られる、様々な人間のささやかな生活の連作短編。そこにあるのはどこにでもあるような現代社会における人間の営みで、それがいかに変化に弱く、それでも人間が生きているのかを思い知らされる。何かを見つけ、何かを失いながら生きるがゆえに、わかりあいすれ違う人々は、時に物悲しく、時に痛々しい。多くの事件はありふれて派手さはないが、だからこそどこにでもありそうで、人が生きていくうえでの弱さを照らし出す一冊。そしてそんな中で迎える最後の瞬間が実に儚く、世界の断絶を感じさせる。
2014/03/06
ぱせり
不器用で不細工でときに滑稽だ。でも一つの矜持が見え隠れしている。愚かかもしれないけれど清々しくもある。物語は続いていくのだ。一つ終わったとしても、この先に何が起こるかわからないそれぞれの人生を彼らは生きている。これはひとつの礎の物語であるとも思える。
2014/07/10
かんちゃん
全米の話題をさらった…との謳い文句に釣られて読んだが、何処が面白いのか、さっぱりわからなかった。ローマの英字新聞社を舞台に、奇妙な連中がたくさん登場するが、「変なヤツら」以上の感想を持てなかった。私の読解力の問題か、想像力の欠如か、異文化理解の不足か…。残念無念。
2014/12/07
けいちゃっぷ
ローマの(架空の)英語版国際新聞の創設から廃刊までの50年。 それに関わった11人の人生の断面を描いた連作短編集。 出だしは好調で期待が持てたが、次第にウンザリしてきた。 「愛すべき半端者たちの織りなす悲喜劇」(あとがきより)が、こちらにとっては読んでて苦痛以外の何者でもなかったのです。 448ページ
2015/02/01
アトレーユ
じんわり切ない空気が、どの章にも漂う。表紙からの印象などから、もっとふざけた感じの『愛らしいおバカちゃんどものお話』かと思いきや、意外としんみり。人の生涯を一言で言い表すのは不可能だが、そんな人生の、ほんのヒトコマを切り出した感じ。新聞社で働く人々の、それぞれの人生のヒトコマ。仕事、家族、生きざま、恋…それぞれ違うテーマでありながら、ほんの少しだけ、それぞれがクロスしていく。だが、べったり平行線にはならない、その、つかずはなれずの絶妙な距離感がまた、リアリティーを出しているのかも。
2015/05/03
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