名作旅訳文庫6 大阪 『夫婦善哉』『アド・バルーン』織田作之助 (名作旅訳文庫 6 大阪)
名作旅訳文庫6 大阪 『夫婦善哉』『アド・バルーン』織田作之助 (名作旅訳文庫 6 大阪)
- 作家
- 出版社
- ジェイティビィパブリッシング
- 発売日
- 2009-12-15
- ISBN
- 9784533077296
名作旅訳文庫6 大阪 『夫婦善哉』『アド・バルーン』織田作之助 (名作旅訳文庫 6 大阪) / 感想・レビュー
Y2K☮
初の織田作。蔦屋重三郎の本を読み、江戸の戯作や講談調のリズミカルな語りに興味を抱いた矢先に衝動買い。井原西鶴に影響を受けた文体らしい。舞台は大阪だけどまさに、まさに欲していた世界観。特に「アド・バルーン」は期待通りの期待以上。まるで太宰治「人間失格」にポール・オースターの粉末を塗した様な。いや太宰よりも著者の自意識の発露が少なく、より本格に近いか。「夫婦善哉」なんて確実に百年後まで残る。何でこんな男にと思うのも人間なら、常識や打算を超えた説明不能の熱に生涯を賭けられるのも又人間の業。業の肯定。それも文学。
2017/06/27
とかねね
『夫婦善哉』甲斐性なしで、しかも金づかいの荒い夫・柳吉を妻の蝶子が支えながら暮らしていく物語。蝶子が将来のためにと貯めていたお金にも手を出し、全く向上の意思のない柳吉ですが、別れる様子はなく結局のところ良いバランスで生活しているのかもしれません。『アド・バルーン』働きに出るも、すぐに飽きてしまう私。人の思いに流されるように片思いの相手を探したり、命の恩人との再会を注目されたり、思わぬ形で父との和解をはたしたり・・・。今は無き大阪の風景や織田作という人物の解説があり、物語をよりよく理解することができました。
2016/08/12
大阪のきんちゃん2
28年新刊の角川文庫版と新潮文庫版と併せ、織田作3点セットで読破。 この本を持参して作品世界を歩いてみる。 夫婦善哉をはじめとして、織田作はもう古典と言って良いんじゃあないかと思う。
2017/08/18
かりん
5:《初オダサクで、魅力にはまる。》織田作之助、初読み。時間がどんどん流れていくのが小気味良く、固有名詞がいっぱい出てくるので、旅訳にぴったり。スピード感が程よい距離感になり、ダメ男もなんだか存在全体を愛らしく読める不思議。ちょうどミュージカルの舞台を観てどんどこ進む中で感情移入していくのに似ているかも。そして何より、当時の大阪の魅力みたいなものが詰まっています。でも、ふと「私という人間はどんな環境や境遇の中に育っても、結局自分にしか成れなかったのではないでしょうか」という一節に出会い、ハッとしました。
2014/03/19
little big bopper
アド・バルーンみたいにふわふわと、どこに行くでもない、いつ破裂するとも知らない人生の主人公。長いけど印象深かった。
2014/03/19
感想・レビューをもっと見る