名将の法則
名将の法則 / 感想・レビュー
鬼山とんぼ
これは拾い物だった。安部龍太郎が高く評価される少し前、岩波の『名将言行録』に範を取った短編評論集だが、書かれた50歳の段階でほぼ現在に至るまでの作品群の骨組みになる知識や理解が完成されていたことが判る。つまり早い時期から独自の歴史着眼を磨き抜いてきたということで、作家・安部龍太郎を理解する上で必読の書と言えるし、既読・未読いずれに対してもより深い鑑賞を可能にする手引書とも言える。惜しいのは豊臣秀吉の項(恐らく先に書かれたのでは)だけは通り一遍の記述で全体の品格を落としている。文庫化の際には改稿を望みたい。
2022/04/10
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