無能の人
無能の人 / 感想・レビュー
燃えつきた棒
やはり、僕にとって究極の「お助け本」だ。 映画「無能の人」の石売りのシーンや、主演の竹中直人、妻役の風吹ジュンの表情などを想い出しながら楽しく読んだ。 今度こそ、また毒が回ってきた時のために、とっておこうと思う。 第三話「鳥師」には、てっきり憶良の『世の中を憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば』が、引用されているものと思い込んでいたが、どうやら僕の記憶違いだったようだ。 第六話「蒸発」で取り上げられている井月は、僕の口には合わなかったが、つげが偏愛する川崎長太郎などの私小説も読んでみたい。
2019/11/07
内島菫
社会的な境界例にある人々(男性)の話。そこでの女性やこどもは、さらにそうした男性たちの周縁に置かれている。女性たちには、生活臭い話や男性たちの境界例を皮肉る言葉を述べる役割が与えられているが、それはもともと社会の外(境界の外)にいる女性たちからの逆照射であることを、男性たちはきちんととらえ返すことはない。
2019/08/18
猫丸
しばらく前から縦積み本タワー崩落現場跡に視認してはいた。そこへ読友さんのレビューが重なったので何かのお告げかということで再読。何かと理由を付けてマトモ大衆の軍団から逃れたい。金は欲しいがトクをしないと損だなんて思いたくない。生存競争が適正に行われたら真っ先に死ぬタイプ。僕もそこまで重篤じゃないから何とか助かっているだけで、状況が厳しくなれば一気に諦めてしまうであろう体質は同じ。第六話「蒸発」には聖性と貧困病苦の結合が描かれるんだが、ちょっと行き過ぎかな。勝手に生きさせろよ、でいいと思う。
2021/02/12
ツキノ
タイトルと作者の名前だけは知っていたので読んでみる。6話収録。なんともいえない作品。主人公が「個性の尊重などとぬかすくせに一寸はみ出るとのけ者にされるしな」と言っている。巻末にインタビュー「つげ義春の乞食論」あり。
2015/12/23
アズル
再読。確か、ブックオフ早稲田通り店で購入したような…、コレクターズアイテムとして。竹中直人が映画化してましたね、観てないです。批判する訳ではないのですが、3大少年誌を読んでいる人に勧めてみたい作品です。「努力・友情・勝利」が崩壊している(というより、もともとそんなものが存在しない)世界の、マンガ表現、その先にあるものをみせてあげたくなります。
2014/02/22
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