言葉の冒険、脳内の戦い
言葉の冒険、脳内の戦い / 感想・レビュー
おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ
三年前、死にかかった時に「そうだ小説を書こう」と思って以来、本を読んでは感想を書くという作業を続けて来たのだが、未だに小説など1作どころか1頁どころか1行も書いてない。勉学として読む文豪や天才の小説はミジンコの眼前に立ちはだかる黒部ダムのように巨大で、読めば読むほどなんも書けん。私とて脳内では後悔や自責や不安やセロトニンやおっぱい等と常に戦ってはいるが、笙野頼子は就労も恋もせず、多感な時期も女ざかりも費やして人生すべての時間を「文学」だけと向かい合った。こんな人に敵うはずがない。敵うはずがないのである。
2017/03/23
踊る猫
何故笙野頼子氏はキャリアの割にエッセイ集が少ないのかなと考えていたのだけれど、この本を読んで納得が行く。笙野氏の想像力は「小説」、つまり現実を逸脱した自在な方向に向けられる時の方が面白いので、対談やエッセイになるとそうした「逸脱」がなくなってしまい笙野氏の思考のロジカルさだけが際立った、堅苦しい(とはいえちっとも難解ではないのだけれど)ものに収まってしまうようなのだ。そのあたりが不完全燃焼。小川国夫や藤枝静男について書かれたところが読み応えがあり、これは是非『或る聖書』を読まなくてはならないなと思わされた
2016/04/23
読生
https://booklog.jp/users/toutoyo/archives/1/453705039X
2021/11/16
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