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僕はマゼランと旅した

僕はマゼランと旅した

僕はマゼランと旅した

作家
スチュアート・ダイベック
柴田元幸
出版社
白水社
発売日
2006-02-28
ISBN
9784560027417
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僕はマゼランと旅した / 感想・レビュー

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aoneko

細部のふらくみや文章の奥行きと端々の煌めきに、なんて豊かなんだろうとうっとりした。シカゴの街を舞台にした連作短篇集だが、シカゴではない、かつて訪れた場所へのいざない。歳を重ねた未来の自分、今の自分、過去の自分。それぞれの視点から、其処にある/あった風景も人も眺めていた。「記憶」を扱った小説らしく、どこかの場面がフックになり、芋づる式に何かが呼び起こされるのかもしれない。敢えてドラマティックにしなくても、現実の先にドラマは幾らでも起こりうる、解き放たれた伸びやかさを感じた。

2015/07/03

あーびん

様々なキャラクターの視点から立ち上る濃密なシカゴの記憶。路地の匂いから思い出す少年時代。ドラマティックな事件はとりわけ起こらないが、私たちの日常なんていつだってそんなものではないか。ほんのささやかな人生の不協和音がせつない余韻を残していく。ダイベック、やっぱりいいなぁ。

2018/09/29

8123

『ブルー・ボーイ』が絶品。病弱な弟と兄、優等生の女子カミール、父サーの三様の人生を絶妙な距離感で描出している。クールに客体化するわけでも、過度に同一化するわけでもない。いわば「人生の<忘れがたい瞬間集>」なんだけど、この心地良さが、変えようのない過去への回想に伴う、よくある感傷に過ぎないのか、この人特有の不良っぽさと関係あるのか、どっちなのか結論をだせぬまま。

2024/06/19

春ドーナツ

本書には追憶がびっしりと書き込まれている。11冊の長篇小説を乱読したような高揚感に私は包まれている。「記憶とは過去がその力強いエネルギーを伝導するための回路なのだと。そうやって過去は愛しつづけるのだ」(『マイナー・ムード』から抜粋) 高架電車の走る街・ポーランド系アメリカ人・カソリック。本来なら異物であるはずの私の記憶も渦巻きのように混ざり合う。失くしたはずの心の欠片が浮かび上がってくる。切ない。とても切なくなる。

2018/05/29

DEE

シカゴのあまり美しいとは言えない場所で感じられるであろう町の空気。そこで暮らす僕と弟ミック、そして父親のサー。いつもの生活に入り込む恋や犯罪。そういう雰囲気をじんわりと味わえるのではないかな。自分はあまり楽しめなかったけど。

2020/02/22

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