屍体狩り
屍体狩り / 感想・レビュー
どんぐり
メメント・モリ、死を忘れるなかれ。第1体「グランジュ枢機卿のトランジ(腐敗屍骸像)」から43体「それぞれの「死の舞踏」」まで、各5ページの屍体美術をめぐるエッセイ43話。著者の小池氏は、ヨーロッパの死の図像研究家。キリスト磔刑図をはじめ、15世紀に描かれた「死の舞踏」、「ウァニタス」(はかなさ)画、ホガースの「残酷の報酬」、死者の顔にまとわりつく蛇やカエル・蛆虫の屍骸像、ヴェサリウスの描いた解剖図、ボスの「守銭奴の死」など多くの図像写真が掲載されている。ただ残念なことに、写真はすべてモノクロ。「汝もやがて
2016/03/14
キムチ
「美術手帖」に連載されていた内容をまとめた1冊。筆者はアカデミズムに職する女性で日本唯一の「死の舞踏会」東洋会員だとか。何気に手に取るが、タイトルで借りるのをためらった。後書きに「中学時代読み漁った中世史の本の中でとりわけ好きなジャンルが魔女狩り」で共感し 借りてしまった。読み進むうちに、おどろおどろしい非日常の極みの内容が展開して行き、頭の中は腐敗臭と酸鼻極める情景とが立ちこめてえらい事に。執筆時期をみると彼女が33歳ごろから始まり、あらためてうわぁ~! 16C欧州 刹那の泡に身を映す想いが脳裏に浮かぶ
2014/02/06
つらら@道東民
刺激的なタイトルですが、すごく真面目な死の美術品についてのエッセイ集。私は読みながらお経の『白骨の章』を思い出しました。現在にあっても死を駆逐することはできないのですから、時々はいつかは死ぬ身であるということを考える一助になるかと思います。写真や図版が多少不鮮明ですが、インパクトが弱まって良かったかも。そのくらい死の匂いが強い本です。
2014/02/20
mawaji
「死者たちの回廊」とともに購入した小池寿子先生の2冊目は屍体にまつわるエッセイでした。まだ30代であった著者が屍体研究者として古文書を頼りに「死の舞踏」を探し求めながら病膏肓に入っていく様子がユーモアを交えながら綴られています。Google Mapのない時代の苦労が偲ばれます。腰骨から膝の関節にかけての大腿骨の微妙なカーヴという骨の脚線美へのなみなみならぬ偏愛は学術的「屍体屋」としての面目躍如たるところなのでしょう。コロナ禍が落ち着いたら死の舞踏展とかトランジ(腐敗屍骸像)展とか、どこか企画してホシイ…。
2020/05/18
メイロング
背表紙でビビッときたら、それはきっとおもしろい。時事的な枕から始まって、テーマに深く入り込み、ラストに再び現在に浮上する谷構造。普通のエッセイ形式なのにその谷の奥深いこと。底には蛆虫とカエルがうごめき悪臭漂うばかり。でも、この屍体ダイブを繰り返していくと、だんだんリズムがくせになってくる。復刊の際はぜひカラーで。
2014/11/08
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