流れる水のように: 姉アンナ,無名の男,美しい朝
流れる水のように: 姉アンナ,無名の男,美しい朝 / 感想・レビュー
秋津
「姉、アンナ・・・」があまりすんなり読めず時間がかかってしまった。「無名の男」の数奇な人生、でも淡々した感じがとても好き。その後日談である「美しい朝」は、その名の通り美しい。
2014/11/18
solaris
『姉アンナ…』16世紀イタリア、地方貴族の家に生まれた恋慕い合う姉弟の話。ベースとなっている恋愛感情が日本人と違う。激情を押し隠して伝えられる言葉は静か。貴族は大体こういう風習なのか。キチンとした告白もないまま、姉弟は永遠に別れる。一文の描写が濃い。20世紀の人間が書いたとは思えない現実的な世界。綿密な取材と読み込みを感じる。 『無名の男』…金、名誉、教養、身分の何れもないありふれた人間。人の世の覚めた目線。高い身分の人や、栄華を極めた人達の危うさ、不完全さを際立たせる。より写実的なのが村上春樹と違う。
2015/10/29
ねこ
収録されている「姉アンナ…」のみ読了。舞台は16世紀後半~17世紀前半のイタリア、貴族の家。究極の恋愛小説といっていいと思う。若くして亡くなる母は、娘と息子に言い残す。「けっして憎みあうことのないように」と。ふたりが恋に落ちることを見抜いていた。実際、憎しみの上に張られた糸の上を歩くように、物語が進む。読み終わって、ふ~。ずいぶん遠いところに旅をしたような気持ちに。あまりに世界が違ったから。ほかの作品は、いずれまた。
2015/05/22
生きることが苦手なフレンズ
最近読んだ『ミシェル・セールの世界』を思い出した。セールにとっての時間はくしゃくしゃのハンカチや河の流れの比喩で語られていた。河はところによって逆巻いてたりで、単純に上から下へ流れているわけではない。16c末の姉弟について、20cの齢70を越える老婆が若かりしころの草稿を書きなおすこの作業と成果も、繋がるところがあるような気がする。
2014/03/14
ふたば
「姉アンナ…」だけ湯船につかりながら再読。久しぶりに読んだけれどやっぱり大好き。人間関係や状況描写、静かに燃え上がっているような登場人物の内面等々、これらの描き方のめりはりがとても心地良く感じて、だからこの作品が好きなのだろうと思った(物語やモチーフが好みなのももちろんあるけれど)。さっと絵の具を置くような筆致もあればものすごく微細に彫り込むような描写もあって、絶妙。なんというか奥ゆかしい。
2014/03/16
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