KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

遠い水平線

遠い水平線

遠い水平線

作家
アントニオ・タブッキ
須賀敦子
出版社
白水社
発売日
1991-09-01
ISBN
9784560042793
amazonで購入する

遠い水平線 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

スズコ(梵我一如、一なる生命)

大好きなタブッキ、でもその作品に入り込めるかどうかは何分その時の心の状態による。今回はペレイラを彷彿させる話の流れ、そしてテーマは多分狂気、特に死への狂気の水平線のまるで蜃気楼のような揺らぎ。遠くにある、と思ったらもうそれはすぐそこだったと言うような。私の場合、今はその感覚は凝り固まった何かがあり、余り共感できなかった。でもタブッキの書く孤独な魂が彷徨う見知らぬ街、夜の闇は堪らなく魅力的で最後まで楽しく読めた。またいつか、再読して新しい発見をしたい。

2022/08/03

ともっこ

静かな文章がとても良い。読んでいて心地よかった。 ただ、読み終わって、初読では正直何がなんだか分からない、というのが率直な感想。 訳者の須賀敦子が言っているように、先を急がず一つ一つのエピソードをゆっくり読むべきものだろう。 今の私には合わない小説だったようだ。

2021/07/02

あ げ こ

ひどく不安な気持ちになる。その境目のなさ。境目の見えなさ。明確なものであると思っていたのに。確かで、埋めようのない、隔たりのようなものであると思っていたのに。そうではなかった。淡く、不明瞭に、徐々に曖昧になって行き、彷徨い込んでいる。いつよりそうか。わからないほどに、緩やかに。失われて行く。わかって行くと共に。繋げていけば行くほど、自覚すればするほどに。失われて行く。境目。隔たり。本当は最初からわかっていたのではないかと思う。その不確さなど。見知らぬものであるはずなのに、決して見知らぬものではないそれを。

2018/12/17

sakadonohito

イタリアのとある街で起きる事件?で死亡した人間の正体を探っていく。自分の読解力が足りなくて読みこなせなかった。空気感はとても良かった。

2023/07/23

kthyk

透視画の中の消失点や水平線が示していることは、モノや空間が無いのではなく、あるのに見えないだけだと認識させたことにある。 見ることできる現実世界の限界はあっても、その限界は人間の住む世界の限界ではない、ということをルネサンスの透視画法は明らかにした。 タブッキはこの透視画法の水平線や焦点を目の中に持ち、物語を絵を画くようにまとめている。 シモン・ボッカネグラの 都市ジェノアだが実はよく知らない。訳者である須賀さんは「ジェノアだとわからないままで読んでみたかった気がしないでもない。」と書かれていた。

2020/10/27

感想・レビューをもっと見る