金色の玄関に
金色の玄関に / 感想・レビュー
黒豆
トルストイの孫による13編の短編集。ロシア語の「玄関」という語は、「翼」を連想させる。まさに、金色の翼を持つ者が携えてきたような言葉のきらめきを堪能できた。「オッケルヴィル川」に登場する老いた元歌姫や、90歳近くなっても昔の恋人との駆け落ちを夢見ている「可愛いシューラ」の老婆、「炎と埃」と「ソーニャ」に出てくる白痴の女性達が印象に残った。正教のユロージヴィ/ユロージヴァヤ(聖痴愚)のように、このような者にこそ聖性が宿り、人を惹き付けるのかもしれない。書き留めておきたい言葉がとめどなく現れてくる本。
2015/02/01
きりぱい
童話のようと思いきやなかなか辛辣で、少女や老人、とりわけ周囲から浮いたような変わった者が登場し、やさしい目線でもなく、夢と現実の差の皮肉、人間の後ろ暗いところを妙にはつらつと描き出された感じ。息継ぎなしに言葉が繰り出されるような文体がユニーク。比喩の多用、多声的な語り、引用の多さという凝った特徴はあとがきに詳しい。表題作目当てで、菜園の豊かな描写は楽しかったけれど、「マンモス狩り」や「可愛いシューラ」がよかった。
2010/11/30
りぃ
私には難しかった。まず、メタファーが理解できない…
2020/09/14
kozy758
まさに金色の綺羅星の小説。美しい。
takeakisky
鮮やかで濃密ななイメージの奔流。そのおかげで、筋を見失うこと、見失うこと。抽象の世界にあそんでいるうち、どこから来たのか思い出せなくなることたびたび。ページを行ったり来たりしているうち、えらい時間がかかってしまったこと。たまには時間をかけた読書もいいものです。しまいにはストーリーなんて要らないんじゃないかしら、なんて思うようになった。独特の雰囲気を堪能できたのは、どこか肯定的な気配のおかげ。
2021/12/05
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