鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説)
鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説) / 感想・レビュー
市太郎
ある日、主人公の男のもとに一通の手紙が届く。いつものように簡潔にさりげなくストーリーは始まる。そして物語は失踪した作家の行方を辿ることになるのだが・・・。前二作を読んでいると知った名前がいくつか出てくるがたぶんつながりはない。一番読みやすいというかストーリー性が強いので楽しめるが僕にとっては三作品の中で一番不明瞭だった。鍵のかかった部屋を開けた先には何が待ち受けているか。誤読を恐れず僕が出した答えはあまりに寓意的だ。孤独の中に埋没している自分を思いぞっとするが、孤独から生み出しうる力もあるのだと信じたい。
2013/12/29
isutabi
★いまや僕は理解した。この部屋が僕の頭蓋骨の内側にあるのだということを。(p.180) ▶少年時代の親友ファンショー。▶ファンショーの妻ソフィー。▶ファンショーの遺した作品。▶ファンショーのモザイクを作り上げようとする。▶ファンショーと「僕」の境界。
2023/07/08
はとむぎ
うーん。10年ぶりくらいに小説を手にした。複雑な心を描写、他人は理解出来ないことを鍵のかかった部屋として表現しているのかな。人の心は、きっと本当の意味では理解出来ないが、理解したいと努めるのがよい姿勢かな。あきらめるのも違うような気がする。
2021/12/18
黒猫グリ子
ファンショーは、死を求めたわけではない。存在をなくしてゆく…のか、何者でもないものになろうとした…のか。やはりこの状態は「死」ではない。「死んでるように生きてゆく・存在しない存在・背景に同化してゆく」…三部作を通して、ではこの本を読んでいる自分はどうだろう、と、考えが自問へと移ってゆく。答えを得られないまま次の本「代書人バートルビー」へ。
2019/07/01
つかさ
書かれているのは私/他者/孤独/書くことについての発見。おもしろかったけれど、きちんと読めた自信はないのでまた読む。
2010/10/04
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