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供述によるとペレイラは

供述によるとペレイラは

供述によるとペレイラは

作家
アントニオ・タブッキ
Antonio Tabucchi
須賀敦子
出版社
白水社
発売日
1996-11-01
ISBN
9784560046159
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供述によるとペレイラは / 感想・レビュー

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舞台は、ポルトガルのリスボン。新聞記者のペレイラが、原稿書きに雇った青年との出会いを境に、政治運動へと飲み込まれてゆくお話。後半の急展開で一気にひきずりこまれ、ラストの記事執筆場面からの結末は鳥肌ものでした。この時代の社会情勢について、もうすこし知識があればよかったかな。須賀さんの訳は素晴らしく、平易なのに味わい深いです。

2015/09/30

rinakko

再読。素晴らしい。妻を喪い、自身の死をも近く意識するペレイラは、いつも死やたましいについて考えるようになる。ある若者と知り合い、悔恨についての短篇を訳し始める。そして‥‥。真摯な思惟は静かに続けられつつも、信条を頑なに守るモンテイロ・ロッシとの関わりによって少しずつ変化していく。不意の勇気も、その先の尊い決断も、それまでの繋がりに背を押され導かれていったのだ。(即オムレツを思い出す作品なのじゃが、殊に美味しそうに描かれているわけでないのね‥‥と再確認。ただ、“香草入りのオムレツ”は語感だけで充分に美味)

2016/08/15

ともっこ

最後までハラハラ楽しませてもらった。 供述調書を読みながら進めていく物語で、ある意味結末が見えているわけだが、冴えないが魅力的な主人公・ペレイラの行末が気になり止まらなくなる。 なんといっても須賀敦子さんの翻訳が秀逸。タブッキから直接この本を送られ翻訳されたらしい。 文体と構成も魅力のひとつ。 文句なしに面白い。お気に入りの本となった。

2022/04/24

舞台は1938年、ポルトガル独裁政権下の時代。ぱっとしない日刊紙『リシュボア』の記者ペレイラが、一人の青年に出会ったことで、あれよあれよという間に政治運動に巻き込まれてゆく。その様子がペレイラの「供述」によって、最後まで語られていくのだ。本作は1994年秋に、イタリアでヴィアレッジョ賞を受賞している。これまでとは違った作風で、生きるとはなにか、そして死とはなにかという重い問題を提起したこの作品は、今でも評価の対象になるだろう。何気ない日常を生きているようで、その陰には政治があるという描写が秀逸だった。

2023/03/08

風に吹かれて

1993年著。「供述:[法]被疑者・被告人・証人などが自ら知覚・記憶した事実を事実として述べること。」(広辞苑第五版)ということから、供述の先には何が待ち構えているのか、読み手としても緊張感のある読書だった。ときは1938年、ところはポルトガル。ドイツやイタリアの軍靴がいたるところに圧力をかけている時代。30年の政治記者を経て某夕刊紙の文芸欄を担当しているペレイラ、砂糖をたっぷりと入れたレモネードと亡き妻の写真に語りかけることを愛する肥った男。➡

2019/11/14

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