カフカ小説全集 6
カフカ小説全集 6 / 感想・レビュー
踊る猫
一体なにを書きたかったのだろう。書けば書くほど、書いたものを克明に書かなければならないと妙な律儀さを発揮し、書く。それは全体像をひとまず描く方法論とは全然違う、細部を丁寧に書き過ぎて全体がメチャクチャになってしまう不毛な作業の謂だ。だが、そうとしか書けなかったのがカフカなのだろう。なんと不毛な作業の積み重ねか。だが、カフカの才能は断片的な記述で遺憾なく発揮されており、この巻はアフォリズムを含んでいて比較的読みやすい。書きながら書き、書いたものに恐れ慄く。そんな悲しくも可笑しいカフカの苦闘が一冊にまとまった
2020/11/06
かふ
戌年ということ『ある犬の研究』を読む。この作品はノートに書き付けらた未完の作品である。晩年の『断食芸人』と絶筆になる『ヨゼフィーネ』の間に書かれた作品で『断食芸人』の流れの中に『掟の門前』のテーマ(死に関する観念的なもの)が潜んでいる。さらに『巣穴』を通って歌姫『ヨゼフィーネ』に繋ぐものとして興味深い。もしかして傑作じゃないか!「ある犬」というのは語り手の学者犬になり損ねて断食芸を身に付けた語り手の犬である。カフカ自身は『断食芸人』について「自伝的探索」を考えたと書いている。『ある犬の探求』という訳も。
2018/01/15
Tonex
「カフカ小説全集」の第6巻。カフカのノート、草稿、断片を第5巻、第6巻の2巻に分けて、そのままの形で収録。▼訳者解説に、翻訳権をとるのに3年ちかくかかったとか、首と右腕に変調をきたし一月あまり棒に振ったとか、大量の原稿用紙を消費し、視力を大きく失ったとか書いてあって、翻訳に苦労したらしいが、せっかくの新訳なのに、訳注も無く、《翻訳について、ひとこと述べるべきだろうが、とりたてて言うほどのことはない》など無責任なことを書いている。ただでさえ誤訳や省略が指摘される池内訳だが、今回はさらに意訳が多いのだろうか。
2016/01/08
Taku Kawaguchi
カフカ8冊のノートを翻訳したものです。父への手紙、断食芸人など読みごたえがある文章も多いですが、ノートに書かれているものすべてを翻訳しているのでマニアックな一冊です。根性入れないと読めません。
2022/07/15
arekcey
再読。「父との手紙」はカフカの最高傑作
2019/06/22
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