ユルスナール・セレクション 4
ユルスナール・セレクション 4 / 感想・レビュー
傘緑
『火』『青の物語』のみ読了。山尾悠子やヴァージニアウルフを思わせる、硬質で透き通っていながら、実は屈折している宝石のような詩的散文。「…医師のように、昏睡した大地の胸を聴診する神の大時計の音にあわせて時はふたたびその歩みをはじめる。世界の振り子はアンティゴネーの心臓である」「彼は私を、死からも、悪からも、罪からも、救いませんでした…人が救われるのはそれらによってであるからです。あのお方は私を幸福から救い出したのでした」半ば神話の形をとって描かれるのは愛の逆説。互いをナイフで傷つけ合うような、狂気じみた痴態
2017/01/15
みねたか
ユルスナールセレクション。4冊の書をまとめたもの。冒頭の「姉アンナ‥」は、硬質な美と激しい情念、そして「絶望と見紛う平穏」(堀江敏幸氏評)が結びついて素晴らしい。また「無名の男」は無垢さ、美しい者への憧れ、諦念が描かれ捨てがたい。この2作は著書の自作解説が味わいをさらに深めてくれる。また「東方綺譚」も魅力的なお話ばかり。ギリシャ神話の人々を描いた「火」にはそれほど入り込めなかったが、これは知識の欠如によるものかも。最後の堀江敏幸氏の解説がまた素敵で、すっかりお腹いっぱい。
2016/10/22
相楽(twitter:sagara1)
米澤穂信編『世界堂書店』巻頭収録「源氏の君の最後の恋」が素晴らしく http://d.hatena.ne.jp/skipturnreset/20140509 出典の『東方綺譚』にも巻末の解説も目当てにして手を伸ばした。米澤穂信さんと深水黎一郎さんとのやりとり https://twitter.com/honobu_yonezawa/status/476059827760664577 にあった通り「源氏の君の最後の恋」がまず素晴らしく、匹敵するのは最初に置かれた「老絵師の行方」と思えた(コメント欄に続く
2014/06/11
warimachi
大分前に「東方綺譚」は読んだが、やはり美しい。
2024/02/29
多聞
『火』のみ。
2023/05/27
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