ユルスナール・セレクション 5
ユルスナール・セレクション 5 / 感想・レビュー
月音
タイトルはラストの章題から採られているが、収録の論考すべてに通じるものがあり、セレクトの妙を感じる。ハドリアヌス帝、シュノンソーの女城主たち、三島由紀夫、ボルヘス、ピラネージ、デューラー…。国と時間を超え、あらゆる史料・古典作品がひもとかれる著者の思索の森を歩むのは容易なことではない。該博な知識と独特の皮肉めいた語り口もあってか、人物・作品に対する率直な思いや考察の結論をつかみにくくもある。期待して読み、それが裏切られないのは澁澤訳の三島論だ。これは作品論であり、人物論でもある。⇒続
2024/01/24
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