ヴァギナ・モノローグ
ヴァギナ・モノローグ / 感想・レビュー
らぱん
オフ・ブロードウェイでオビー賞を受賞した一人芝居の戯曲で主題は女性器。作家が200人を超える女性を取材して描いており、出産や月経にも触れ生命の神秘や輝きを感じさせるが、性的虐待や女性器を持っていることで抑圧を受けた話も多く痛ましさも強く感じた。時代の中で踏みにじられて貶められた名誉を取り戻し誇りを持とうというアジテーションである。高らかに存在を謳いあげられて戸惑ったが、大らかに連呼することで男性器のようにちょっとした笑いのネタにも昇華でき、女性器が男性器並の権利を持つための手段で一歩にはなるのだろう。↓
2019/06/13
nbhd
下半身にモゾモゾ感を抱えながら読み終えた。傑作、これはマジでスゴイわ、とにかく「声」に尽きる。女性200人へのヴァギナに関するインタビューを題材にした一人芝居がベースにあって、翻訳の妙もあると思うけれど、間近に、すぐそこに「声」が聞こえてくる。ボスニアのレイプ・キャンプに送られた女性の「声」、6歳の女の子の「声」、72歳で初めて自分のヴァギナを見た女性の「声」、”カント”という呼び方にこだわる「声」、奇跡の三段階連続オーガズムの「声」…ぜんぶを聞いてほしいけど、ぜんぶは引用できないから、読んで浴びてほしい
2016/02/02
くさてる
「わたしは寝言でもこの言葉を言う。言ってはいけないことになっている言葉だから、言う。人目を忍ぶ言葉だから―不安や混乱、軽蔑、嫌悪を引きおこす言葉だからーだから、この言葉を言う」年齢も職業も人種も様々な200人以上の女性に行ったインタビューを元に書かれた戯曲。といっても、明確なストーリーがあるわけではなく、短編集や詩により近い内容です。ボスニアのレイプ・キャンプから送還された女性の言葉を基にした「わたしのヴァギナ、わたしの村」と「6歳の女の子に訊いてみた」の二つが特に印象的でした。
2015/07/13
新地学@児童書病発動中
傑作。文字通り、女性のヴァギナをテーマにした戯曲。と言うよりエッセイまたは詩。ヴァギナといわれなき女性蔑視の深い関係をくっきりと浮かび上がらせる作者の手腕は見事。女性だからと言うことで、いまだに辱められ、傷つけられている人が世界中に数多くいる現実を、この本を読む人の心に刻む込む。それだけではなくて、ユーモアやあっけらかんとした明るさもあり、後味は悪くない。ヴァギナが命を生み出す聖なるものとして描かれる最終章は心が震え、涙がこぼれた。
2012/02/27
サトゥルヌスを喰らう吾輩
「友人が更年期について話していたとき、自分のヴァギナのことをまるで汚らわしいもののように語ったことに驚き、いろいろな女性にヴァギナをテーマにインタビューすることを思い立った」著者が演じた舞台+αの本。終盤、著者自身も「さらなる迷信をヴァギナにつけ加えているだけなのでは」と内省していましたが、まさに、私には劇的すぎると思うところもありました。女性器の話って「神秘か暴力か性か、じゃなかったらやたら芸術/学術ふう」で日常っぽいとこにチューニングが合わない感じがなんかあって、しばしばお、おちついて。って思います。
2017/04/19
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