エドウィン・マルハウス: あるアメリカ作家の生と死
エドウィン・マルハウス: あるアメリカ作家の生と死 / 感想・レビュー
どんぐり
ミルハウザーの子どもを主人公に据えた作品。10歳でアメリカ文学史上に残る傑作『まんが』を書いて、11歳で自ら死を遂げた作家エドウィン・マルハウスの生涯を伝記という形式で描いている。その伝記を書いているのが、隣家に住むジェフリー・カートライト。ジェフリーがエドウィンに初めて会ったのは、生後6か月と3日目。そこから ジェフリーによるエドウィンの“子供によって書かれた子供の伝記”物語が始まる。ずば抜けた神がかり的なまでの記憶力のよさをもったジェフリーが描くのは、「どんな日付も、どんな出来事も、どんなに些細な一言
2015/12/29
ベル@bell-zou
挫折本棚行き。第一部、幼年期~15章103頁で中止。今の私のコンディションで読み通せる気が全くしない。このボリュームと文字の密度。何かが待ってる予感はするんだけどな~。
2018/11/18
tipsy
本好きの熱烈な指示で復刊されたという。11歳で最期を遂げた天才少年エドウィンの伝記(本書)を書いたのは隣に住むジェフリーなる少年。とある研究者に伝記が発掘され再版という設定なので、前書きの「復刻版によせて」から小説が始まっている。ここは大人が想像するような子供の世界ではない。ほの暗い。これを完成させるためにはあのラストが必要だったのだろうがこれは果たして伝記なのか・・・。読了後エドウィンよりジェフリーの事が気になる。どこまで真実?天才はどっち?これは悪夢?考えずここにある虚構をたっぷり味わえばよいのか?
2016/12/13
ぐうぐう
これは大人になった誰もが経験したはずの子供時代をリアルに再現した壮大な小説だ。なのでサブタイトルは、こうも言い換えられる。『ある子供時代の生と死』というふうに。11歳で逝去した天才少年作家の、その伝記を綴る12歳の少年という設定には、ミルハウザーの精緻な企みが秘められている。残酷で情け深く非情で輝かしい子供時代に、見るモノと見られるモノ、記すモノと記されるモノ、物語るモノと物語られるモノという問題が浮き彫りとなってくる。ミルハウザーならではのアイロニーとユーモアが読者を呑み込んで行く。紛うことなき傑作!
2009/07/03
tomo*tin
10才で名作「まんが」を生み出しその翌年に夭逝した若き天才作家エドウィンの生涯、を彼と同い年の幼馴染ジェフリーが12才の時に伝記として記した物語。この伝記の持つ力を私はどう言葉にすればいいか読了後からずっと考えていたのだけれど、全然うまくいかず、見切り発車で今これを書いている。語り手であるジェフリーの持つ洞察力と表現力により私はすっかり彼らと同じ年頃に戻り、その世界に溺れてしまった。なんなんだこれは。天才作家と天才伝記作家。美しくも残酷で儚い情景の数々。衝撃のラスト。本当に素晴らしかった。傑作だと思う。
2009/05/13
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