晴れた日は巨大仏を見に
晴れた日は巨大仏を見に / 感想・レビュー
ホークス
様々に考察しながら巨大仏を巡る。巨像が持つ「神様的な怖さ・冷たさ」は、人間など世界にとって取るに足りないと教えてくれる。その虚無感・超越性は、像本来の意味が希薄だからこそで、廃墟に通じる感覚である。虚無感は、日常の風景に混じると強い違和感を発し、一方で「強迫的な意味の押し付け」が無いため、見る者に安らぎを与える。この違和感と安らぎの同居というのは、廃墟の魅力そのものだ。像本来の意味を消しているのが建立した金持ち本人の生臭い煩悩である、という皮肉も興味深い。
2016/11/20
スノーマン
修学旅行で奈良の大仏さまを拝見した時、その大きさに驚いたものやけど、ここに登場するのは、奈良の大仏さまですら手のひらに乗せそうな巨大さ。狭い日本にこんなに乱立する意味もわからないけど、意味を求めてはいけない。その土地の人たちにとっては日常にあるもの。山、とか、川、とかビルとかそんな程度なんやろな。そこに住んでない人が見たら仰天するだけで(笑)ところで、宮田ツアーの仲間が濃ゆ過ぎ、そこに気を取られて巨大仏が危うく薄まるところやった。袖山さん発言に何度も吹き出した。お嫁に行けるといいね←大きなお世話。
2014/07/21
keith
日本全国の巨大仏をとにかく見るためだけに出かけていく。街中に不自然に屹立している巨大仏。その違和感が何とも言えない味わいを醸し出している。確かに写真を見ても、山の中の巨大仏より民家の中に立っている巨大仏の方がインパクト大。作者はこの風景を「マヌ景」と言っている。日本一の巨大仏である牛久大仏から、ゲッツ板谷も「板谷遠足」という本の中でマブいと激賞している仙台大観音(表紙の写真の観音さん)や、超ギャルっぽい顔立ちで可愛い会津慈母大観音など、全国各地の巨大仏とその風景が軽妙な語り口で紹介されていて面白かった。
2014/08/20
おはる
日常的な風景の中にウルトラマンよりも大きい巨大仏が屹立しているという非日常的な風景。そんなシュールでワンダーな巨大仏風景の魅力を余すところなく伝えてくれるのが本書だ。まるで怪獣のごとく“ぬっ”と現れて「で、でたーっ!」という感じ。うう、なんだか想像するだけでわくわくするではないか。そんなスペクタルをぜひ味わってみたいものだ。「巨大仏十六ヶ所巡礼」、いつか必ずやってやるぞ。
2010/09/12
sonomi
好きです、巨大仏。あの“ぬっ”と出てくる感じ、存在意義の不明さ、目立つのにも関わらず近隣住民には無視されている感じ、たまらなくいいです。著者は巨大仏のいる風景のような、ツッコミ入れたくなる風景を“マヌ景”と名付け、愛情を込めつつ紹介してくれている。こうして見ると日本てマヌ景多いよね。この本を読むと、どこかにマヌ景はないかと探すクセがつき、日々がちょっと楽しくなるよ。
2009/08/08
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