十三の無気味な物語 (白水Uブックス 52)
十三の無気味な物語 (白水Uブックス 52) / 感想・レビュー
em
異様。このような物語を創りだす魂に驚嘆をおぼえる。作者がオルガン制作者でもあると知って、あの独特の倍音と日常を共にすることは、この人に何をもたらしたのだろうと考えてしまう。私がたまにする想定は”無人島に持っていくなら”ではなく、”塀の中に入ることがあったら”なのですが(そういう経験も予定もないけれど)、その時にはきっと欲するであろう本。
2017/05/05
misui
全篇に重苦しく幻想的な雰囲気がまとわりつく。土俗的であったり不条理であったりする中に様々に血なまぐさいものが見え隠れするのだが、それは常識から外れたもの、禁忌として普通は締め出されているものである。粘りつくような文体には難儀するものの、読み終えた今となっては嫌悪と愛着の両方を誘う。きっとまた吐き気をこらえながら読むのだろうと思う。
2013/06/24
pyoko45
幻想・怪奇な話もあるが、全体としては倒錯的で不条理な色合いの話が多かった印象。作中人物たちが散々ばら歪んだ会話をやり散らかした挙げ句の「ありゃりゃ」な幕引きに腰砕け。粘着質の執拗な描写と全体を覆う陰鬱で厭世的な雰囲気から続けて読むのはちょっとつらかった。そしていくつかの短篇が長篇三部からなる超大作『岸辺なき流れ』の(ほんの?)一部をなしているというのだから恐れ入谷の鬼子母神。どんな長篇なんだろう。
2013/12/21
刳森伸一
13の幻想系短篇小説からなる短篇集。各短篇は、冒頭の内容から徐々に離れていき、思いのよらない所まで連れていかれるものが多い。そのため幻惑の度合いは高いが、物語としてのまとまりは欠けると思う。個人的には「奴隷の物語」や「庭男」、「サーサーン王朝の王者」などが良かった。
2014/08/29
門前照二
夢の中にいるような、暗く陰鬱な雰囲気が作品全体を包み込んでいます。残酷な描写が苦手な方は注意が必要です。少しずつ読み進めるのがいいでしょう。
2010/10/23
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