ドイツ幻想小説傑作集 (白水Uブックス 72)
ドイツ幻想小説傑作集 (白水Uブックス 72) / 感想・レビュー
KAZOO
種村さんが編纂したもので様々な人が訳されているドイツ語で書かれた面白い話のアンソロジーです。18の作品がありますが、怪奇というよりも SF的なものやおかしな味のものが多い気がしました。クライスト以外ほとんど読んだことがない作家のものや作品で楽しめました。
2017/09/18
藤月はな(灯れ松明の火)
主にドイツの現代作家の作品を収録したこの短編集は、怪奇というよりもシュール色が強くて意外な感じがします。「人間工場」の全体に流れる不気味さがラストの一文で一気に可笑しみに変わる構成の妙やショート・ショートSFの「第四次元」の意外とブラック加減、「黄色テロ」の原作版『気狂いピエロ』みたいな語りで言い包める軽妙さが中々、愉しい^^「日没」や「ロルカの女乞食」は紛う事なき、ホラーなので背筋がゾクゾクしました。そして「寸描された紳士たちの仮面を剥ぐ」や「田舎のボーリング場のピンが倒れる」のシュールさには戸惑います
2017/09/03
HANA
マイリンク「蝋人形館」が読みたくて堪らなくなったので読みはじめました。怪奇、SF、実験と幅広く収められているが、やはり面白く読めたのは怪奇、逆に実験小説は文体それ自体が実験的なのか、よくわからない部分も多々あった。特に面白く読めたのは当然ながら「蝋人形館」。蝋人形館の中から最後の歌まで、悪夢の中を彷徨ってるよう。他にも最後が謎に包まれて不穏過ぎる「犬」やカヴァンを思い出させる「写真」言わずと知れた名作「ロカルノの女乞食」等、名作が目白押し。主題とかは現代に通底するものも、多く含まれてるようにも感じたな。
2017/08/18
ニミッツクラス
85年(昭和60年)の880円の白水uブックス初版。独の18編(もはや古典)を収録。同社の先発70年の「現代ドイツ幻想小説」(19編収録)と重複作品の無いのが良い。筋の通ったもの、意味不明な話と様々。ブレーマーの「第四次元」は、主に宇宙航行にまつわる9掌編オムニバスで読み易い。「人間工場」…その目の覚めるほど美しい少女の原料は“土”。「蝋人形館」は1913年以前の作品でさすがに古い。「メカニズム」は機械物ではない…炭鉱で死亡した婚約者が天然の防腐メカニズムで50年後に発見される…胸打つ純愛物。★★★★☆☆
2021/12/06
YO)))
古典的恐怖小説から,機械文明や宇宙を描いたSFチックなもの,言語=日常の解体を試みるメタメタな実験小説まで.編者の目利きが光る.とはいえ"アナクロニズムがこたえられない"派の僕としては,マイリンク「蝋人形館」,ハウスマン「真のホムンクルス、または錬金の叡智」(「マンドラゴラでホムンクルス作ったらええのできるんじゃね?」との考察)あたりがどうにも抗しがたいわけでして.現代ものではアマンハウザー「寸描された紳士の仮面をはぐ」が物凄く好み.真理に目覚めた母子が,世界の裂け目から宇宙的恐怖の繊維を紡ぎ出す.
2016/01/30
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